研究課題/領域番号 |
17K02687
|
研究機関 | 公立鳥取環境大学 |
研究代表者 |
桑本 裕二 公立鳥取環境大学, 人間形成教育センター, 教授 (40333273)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 倉吉方言 / 平板型アクセント / 中高型アクセント / 尾高型アクセント |
研究実績の概要 |
研究期間のさきがけとして、「鳥取県倉吉方言における中高型および尾高型アクセントの優勢について」と題する口頭発表を行った(2017年4月22日、神戸大学)。これは、本研究課題の中心的なトピックである。「平板型アクセントの回避」にともなう現象として、東京方言で優勢でない中高型(特に後ろ寄りのもの)と尾高型のアクセントが当該方言で優勢であることを示したものである。なお、当発表は、当該方言の中高型、尾高型アクセントの分布について、意味論的語彙種による特徴を明確化することを目的として始めた研究であったが、明確な分布状況を示すことはできなかった。その後、いくつかの方法を考察したが、結果的には重音節、単音節等の配列による分類、また、名詞、動詞、副詞などの基本的な品詞分類による語彙群を作った上で改めて調査を行うのが得策と考えた。本研究課題の主たる内容は、次年度(2018年度)に引き続き行われる。 研究代表者を含む当該地域方言研究者による講演会を計3度実施した(桑本裕二(公立鳥取環境大学教授、本研究代表者)「倉吉のイントネーションの妙―何がうちらを安心させるか―」(2017年6月3日、鳥取県立倉吉未来中心)、小矢野哲夫(大阪大学名誉教授・神戸学院大学教授)「倉吉方言の言いさし文―行くけえ。知らんに。―」(2017年10月22日、倉吉交流プラザ)、福光優一郞(新居浜工業高等専門学校准教授)「倉吉方言の待遇表現~聞いてごしならんかえ~」(2018年3月31日、倉吉交流プラザ))。 当年度の業績は、上記を含めた口頭発表(講演を含む)4件、論文1件である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度中、講演を2度行ったが、そのうち1件は市民向け講演会であったため、新たな知見を発表するというよりは、一般的にわかりやすく研究内容を紹介する内容であり、しかるべくまとめるのに忙殺されたということが、研究の本流を遅らせてしまった理由である。また、年度途中から、アクセントはほとんど関わらない、母音連声の当該方言への出現上京に関する研究を行い、応答発表を行ったが(桑本裕二「鳥取県倉吉方言におけるア段長音を派生について」(題18回音韻論フェスタ、2018年3月6日、早稲田大学))、それらに従事した結果、新たな調査のための予算、時間を捻出できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
調査語彙をリストアップし、調査を開始する。調査地域を、倉吉市に限定せず、周辺町(東伯郡内各町)まで拡大する。具体的には4モーラ名詞を中心に、特に東京方言で平板になるものが調査地域で、平板型アクセントがそのまま保持されているか否かを調べる。予想としては、平板型アクセントは回避され、おそらくは後ろ寄りの中高型もしくは尾高型アクセントで出現することが予想される。世代間の調査も行うことにより、平板型回避が、通時的に保持されやすい語種を抽出し、その特徴を検討する。 さらに、計測的に講演会活動を実施し、地域住民への興味関心を引き出し、当該研究の支援と位置づける。 講演会の内容は、近年中に出版する予定であるが、当年度(2018年度)はその先鞭となる交渉を開始する。
|