研究課題/領域番号 |
17K02695
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
高垣 敏博 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (00140070)
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研究分担者 |
上田 博人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (20114796)
宮本 正美 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (20131477)
福嶌 教隆 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (50102794)
R・TINOCO Antonio 上智大学, 外国語学部, 教授 (80296889)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スペイン語学 / 言語地理学 / 言語バリエーション / 統語論 / アンケート調査 |
研究実績の概要 |
本研究はスペイン語の文法研究で問題となる統語現象(叙法、人称代名詞、再帰代名詞、関係詞、性・数の一致、主述の一致、語順、ボイスなど20程度のテーマ)の使用実態を、地理的バリエーションというパラメータを導入することによって捉えなおし、新たな視点やデータ、方法論を提示することを目的とする。 スペイン語は広域使用言語であるが、これまでスペインとラテンアメリカにおける20余りの地点(都市)において上にあげたような共通の文法項目についてアンケート調査を実施し、結果や分析を公表してきた。今期は、2001年より継続してきたこれまでの研究の総括期と捉え、未調査地点での現地調査を補完するとともに、蓄積されてきた調査結果を統合し、1つのデータベースにまとめる計画である。 これまでスペイン10都市と、中米12カ国の調査結果をネット上に公表しているが、今回、カリブ海域のドミニカ共和国と中米パナマで実施したアンケート調査の結果を分類し、本研究のHP(https://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/~cueda/varigrama/index.html)に掲載することができた。現地協力者としてプエルトリコ大学のLuis Ortiz教授のサポートが不可欠であった。また、本研究の方向性についても貴重な助言をいただいている。 また、米国南カリフォルニア大学名誉教授Carmen Silva-Corvalán 教授を日本に招き、本研究についての評価を受けると同時に米国に見られるSpanglishについての知見を得ることもできた。米国のスペイン語を1変種として、いかに組み込んでいく可能性があるのかも今後考えていくべき課題である。 新年度に計画されている中米2カ国における現地アンケート調査に向けて準備している。改めて、Luis Ortiz教授のサポートを得るべく意見を交換している現状である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではスペインの諸都市とラテンアメリカのスペイン語圏におけるスペイン語文法に関する110程度のアンケートを実施し、それにより、地域の言語変異を求めてきた。ラテンアメリカでは北米のメキシコおよび南米の全首都での調査を終えることができた。またカリブ海域や中米では、これまでキューバ、プエルトリコ、ドミニカ共和国、コスタリカおよびパナマでも実施してきた。当初の目的地はほぼカバーすることができている。治安の心配な中米の数ヶ国を残すのみのところまで来ている。新年度、中米の2カ国での調査を計画している。現地の研究者の協力が望めそうで全体として、本研究はおおむね順調に進捗しているいえる。 また、去年実施したドミニカ共和国およびパナマでの調査結果を分類し本研究のHP上に公開することができている。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、本研究ではスペインの都市およびラテンアメリカのスペイン圏の国の首都をすべて網羅するアンケートを計画していた。すでに中米の数ヶ国を残すところまで来た。本研究2年目は、中米の2カ国の調査を計画し、現地研究者の協力が望めるところまで来ている。新年度9月には、プエルトリコ大学Luis Ortiz教授の協力により、現地調査 が可能になっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究初年度で、中米での現地調査の準備が十分整わなかった。本研究では、スペインおよびラテンアメリカスペイン語圏の大半での地域での調査を終えたが、中米の治安状況を考慮すると、細心の準備が必要になる。さいわい、中米に詳しい、プエルトリコ大学の協力者を得ることができた。現在、2年度における調査の計画を立てているところである。この調査費用に初年度の経費の多くを予定していたため残額で出てしまったことによるものである。
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