研究課題/領域番号 |
17K02698
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
ヤーッコラ伊勢井 敏子 中部大学, 人文学部, 教授 (00454364)
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研究分担者 |
広瀬 啓吉 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 客員教授 (50111472)
堀田 典生 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (60548577) [辞退]
板井 陽俊 中部大学, 工学部, 講師 (10551971)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 言語リズム / 発話時の音響特徴 / 胸筋・腹筋の動き / 呼気の制御 / 発声のメカニズム / 呼吸のメカニズム / 呼吸ピックアップ / 呼吸マスク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,発話時の音響特徴と胸筋・腹筋の動きと呼気の制御の相関から言語リズム探ることである。発声のメカニズムは呼吸メカニズムを利用したものとの観点から,呼吸メカニズムと言語リズムの関係に着目した。特に,言語類型上大きく異なる,それぞれが大言語である,日本語・英語・中国語の言語リズム比較を行う。これらの言語は呼気を用いて発話される。 実験方法として,胸筋・腹筋の動きには呼吸ピックアップを4本用い,呼気の制御には呼吸マスクを用いる。この実験では,各言語の母語話者に,さまざまなテキストを,外国語としての日本語,英語,あるいは中国語で発話させる。音響特性(ピッチ,音圧,長さ),発話と呼吸に関係する筋肉の動きの計測,発話における呼気・吸気の量・速度・圧を計測し,統計的に相関を探る。また,呼気・吸気と比較するため,被験者の肺活量も参考データとするために計測する。 平成29年度は,被験者として,日本人母語話者を被験者として,比較的短い物語を日本語と英語で,また,言語リズムが出やすいと言われる短歌を朗読させた。その結果,先行研究では示せなかった,(1)呼吸だけと発話時の差,(2)呼吸ピックアップの本数による差(2本か4本),(3)姿勢(立位・座位)による差,(4)朗読テキストの内容による差を信号で示すことができた。呼吸ピックアップの本数による差(2本か4本)は大きく,胸2本と腹2本が連動していないことがわかった。姿勢(立位・座位)による差では,座位のほうが筋肉の動きがわかりやすかった。朗読テキストについては,短歌より物語のほうが,より発話の言語リズムが出やすいと思われた。さらに,パイロットテストとして,スウェーデン語母語話者の日本語と日本語母語話者の日本語を比較した。結果,イントネーションにおける統語の単位およびポーズが言語リズムに大きく関係していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験機材のパーツの一部を海外から取り寄せる必要があったり,機材をすべて揃える時間が予定よりかかった。そのため,実験開始が遅れた。実験開始時期の遅れの関係もあり,期待通りに被験者が集められなかった。さらに,音声録音のために利用した音響スタジオが工事のため使えない期間があったことも遅れに関係した。
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今後の研究の推進方策 |
前年に引き続き、男女10名の日本母語話者の実験を続ける。また、英語母語話者20名の実験を開始し、終了する予定である。時間的猶予があれば、中国語母語話者20名の実験も開始する。分析においては、イントネーションの単位およびポーズ長等のポーズの役割も考慮に入れる。 それぞれ、データベースを作成し、統計解析を行い、国内外の学会・会議等で発表をするとともに、論文を投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に実施予定であった実験被験者数が不足したために出た余剰金であり、平成30年度に実施する実験の被験者に対して支払う謝礼に充足する。
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