今後の研究の推進方策 |
2018年度は、収集したデータに基づきつつ、主に以下の二つの課題に取り組む予定である: (1) DtFI効果検証:理論構築の基盤として、DtFIの様々な類型に関して、その効果(受け取り手の受ける印象)を実験的な手法で観測し、どのようなDtFIメッセージデザインの効果が高いと判断されるか、統計的Message Effect分析(Jackson, 1992)を用いた分析を行う。 (2) 認知メカニズムのモデル化:言語学(語用論)、社会心理学(コミュニケーション学)、進化心理学等の知見を応用し、社会認知語用論(Tomasello, 2010他)という枠組みで、DtFIにおける(誤)推論のメカニズムを明らかにし、これをモデル化する。 また、対人コミュニケーション能力の基盤に認知的複雑性(cognitive complexity)や視点取込み(perspective taking)能力があり(Burleson & Caplan, 1998)、また自分や他人のコミュニケーションスタイル(MDL)に関する理解(O’Keefe & Lambert, 1995)などが深く関わると仮定し、これがDtFIの産出・解釈に与える影響を検証する。それぞれ200名程度の日本語・英語母国語話者のサンプルのDtFI産出管理・解釈能力、認知的複雑性・コミュニケーション・スタイルを測定し、変数間の相関(共分散)分析を行う予定である。
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