研究課題/領域番号 |
17K02703
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研究機関 | ノートルダム清心女子大学 |
研究代表者 |
山部 順治 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (00330598)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オリヤ語(オディア語) / オリッサ州(オディシャ州) / 印欧語族 / 類型論 / 統語論 / 格 / フィールドワーク / アンケート |
研究実績の概要 |
本研究は、複文構造の諸構文やこれら諸構文にかかる諸規則に関して、事実を発掘しそれに理論的説明を与えた。主な対象言語はオリヤ語(Odia, Oriya, インド東部、印欧語)で、日本語も補助的に扱った。 今年度(18年度)は、インド・オリッサ州への3回の調査旅行によって資料収集を実施した。カタック市(5~6月、12~1月)においては、約3週間×2回の期間、毎日4時間ずつ、オリヤ語話者1名の協力者を対象に面接調査を行った。また、ウトカル大学(ブバネスワル市、3月)では、4名の話者と対象にそれぞれ数時間~20時間の面接を持った。種々の構文(使役構文、斜格主語構文、など)において種々の規則(二重目的格制約、人称格制約など)がどのように適用されるか、を記録した。カタック市での調査では、話者1人について、文法の広範囲を詳細に解明できた。ウトカル大学での調査では、多人数の話者について、重点的項目に関して、一定の一般性を確認し、数点の変異の存在を明らかにした。 成果発表は、日本およびインドの学会の予稿集(計3件)、および、インドの2大学の大学院での講義(2件)として行なった。インドの学会や講義では、現地の研究者から諸言語について資料と知見を提供していただいた。 この他、オリッサ州の3大学において、日本事情について講話を行い、その聴衆のべ約100人を対象して文法アンケート調査を行った。これにより、面接調査の結果をあるていど補強できた。 勤務校(岡山市)では、オリヤ語の資料の整理・考察、日本語の類似・関連事象についての資料収集・考察を行った。特に、日本語の複合動詞の用法や、混成語のアクセントなどについて、約100名のアンケートを繰り返し実施し、話者間変異に関して詳しい資料を蓄積した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オリヤ語の調査に関しては、カタック市においてこの20年来の調査協力者1名から、詳細な資料が収集できた。 オリヤ話者間の変異を解明すべく、今年度(18年度)から次のような2種の調査を開始し、19年度以降の展開へ足がかりを築いた。1つは、ウトカル大学では、4名の話者とそれぞれ6~十数時間の面接調査を行った。もう1つは、オリッサ州の3大学で、アンケート文法調査を行った。アンケート調査は、面接で明らかにした事実の一般性を確認するのに役立った。
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今後の研究の推進方策 |
オリヤ語について、インドでの資料収集を次のように発展させる。面接調査は、カタック市、ウトカル大学、デリー大学において実施する。とくに、ウトカル大学での進展に重点をおく。18年度の協力者4名のうちだれか、あるいは他の話者の、計2名との継続的な調査を企図している。調査項目を展開させるべく、様々な構文の・様々な構成要素に・様々なテストを適用させて新たな質問を設定する。アンケート調査は、同州の諸大学において学生を対象に行う。実施回数を重ねることにより、データの拡張と方法論の改良を進める。面接・アンケートによって得られた資料は、主要な論点にかぎり、オリヤ語母語話者の言語学研究者に確認していただく。 理論的考察には、深化の余地が残っている。そのために、日本(勤務校)において研究文献(おもにロマンス諸語に関する)を渉猟し、インドにおいては研究者と対話を持ち意見を請う。 日本語については、勤務校での資料収集・理論的考察を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が3,659円となっているが、これは勤務校の事務部署の手違いによって生じたもの。
実際には、支出額は支給額を上回った。例えば、インド調査の費用のうち、謝金の全部、および旅費の一部は、支給額ではカバーしきれず自己資金によった。
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