研究課題
複文の統語的性質に関して、事実を発掘・整理し、それらにどうしてそうなるのか理論的説明を与えた。研究対象言語は、主にオリヤ語で、補助的に日本語を扱った。本研究の期間は当初は令和1年度(2019年度)までであったが、その一部として2020年3月に予定していたインド・オリッサ州での調査の実施がコロナ禍のためできなくなり延期した。これに伴い、研究期間を本年度(令和2年度)へ延長した。同調査は本年度中にも実施することができず再び延期し、本研究の期間は令和3年度へ再延長した。本年度の研究実績は、次のようである。(1)オリヤ語については、インド・オリッサ州で令和1年度までに実施した調査で得られていた資料を整理し、それについて理論的に考察した。令和3年度実施予定のインド調査において使用するため、質問項目を整備した。主に、格、人称、有生性、条件文、否定が関わる事象を取り上げた。(2)日本語の関連事象について、資料収集・整理および理論的考察を行った。資料収集は、おもにアンケートとインターネット検索によった。(3)成果発表は次のように行った。オリヤ語の研究に関しては、インドで出版の論文(7月)と日本言語学会での口頭発表・予稿(6月と11月)。これらでは、人称・格制約やそれに類似の事象で、先行研究の理解からすると特異なものを報告した。日本語に関しては、論文(3月)。ここでは、補助動詞「おく」「おる」の西日本諸方言に特徴的な用法を手掛かりにして、日本語の否定条件形の文法的構造について新見解を提出した。
2: おおむね順調に進展している
本年度に計画された主要な活動は、インドで調査を実施することだったが、これは実施できなかった。一方、本研究期間の初年度から本年度(4年目)にわたって見ると、令和1年度までに行ったインド調査によって得た資料に関して、および、それに基づいて令和2年度までに行った考察に関して、進捗は良好である。
令和3年度は、オリヤ語の現地調査を中心に研究を行う。延期中のオリッサ州での調査を、コロナ禍の終息を待って実施する。そこで得られた資料について理論的に意義付けし、また理論的観点から沸き起こる新たな調査項目を設定しさらなる事実発掘へつなげる。
計画では、前年度(令和1年度)からコロナ禍のため延期していたインド・オリッサ州での調査を、本年度中に実施することになっていた。本年度にも実施できなかったため、その経費の一部に配当していた金額を、次年度(平成3年度)使用とした。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 3件、 査読あり 1件)
ありあけ
巻: 20 ページ: 39-72
日本言語学会第160回大会予稿集
巻: - ページ: 188-194
日本言語学会第161回大会予稿集
巻: - ページ: 29-35
Tariq Khan, ed., Queries in the structure of language, Mysuru, India: Central Institute of Indian Languages
巻: - ページ: 1-13