研究課題/領域番号 |
17K02712
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
舩橋 瑞貴 群馬大学, 国際センター, 講師 (20533475)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日韓自然発話データ / 複数の言語使用場面 / 日本語の容認性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、複数の言語使用場面における日本語と韓国語によるメタ・コミュニケーションを、マルチモーダルな視点から記述・分析し、その全体像を明らかにすることである。複数の言語使用場面における日本語と韓国語の自然発話データの収集及び整備を進めながら、本研究のために必要と判断した、韓国国内の高等学校で使用されている教育課程日本語教科書における日本語の検討を前年度から継続して行った。さらに、メタ・コミュニケーションの出現が予測されるビジネス日本語に関する教材における日本語の検討を、研究協力者とともに行った。具体的な内容は、以下の通りである。 (1)データの収集及び整備:日本語の自然発話データ(日本語データ)は、データ収集及び基礎的な文字起こしを完了し、研究対象とする現象の抽出を終えた。韓国語の自然発話 データ(韓国語データ)に関しては、顧客会話(4場面)を収集した。 (2)韓国国内の高等学校教育課程日本語教科書とビジネス日本語教材の検討:韓国語データ提供者(9名中の3名)が高等学校で日本語を学んだ経験があった。収集したデータへの日本語知識の影響を確認するため、韓国国内の高等学校で使用されている教育課程日本語教科書(全10冊)に、新たに出版された4冊を加え、その日本語を検討した。検討の結果、本研究が対象とするメタ・コミュニケーションは学習項目として提示されていないことを確認した。なお、検討の過程で抽出された提示日本語の容認性に関する問題を分析し、論文にまとめた。また、派生的研究ではあるが、いわゆる初級レベルでの教科書にはメタ・コミュニケーションが扱われていないことが確認できたことを踏まえ、上級レベル(ビジネスレベル)での扱いの状況を把握するために行った調査に基づき、検討の過程で抽出された提示日本語の容認性に関する問題を分析し、論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していた日本語及び韓国語の自然発話データの収集、文字起こし作業及び現象の抽出作業は、概ね順調に進んでいるものの、日韓の顧客会話に関しては、音声データの取集は実施済みであるが、映像データの収集が滞っている。韓国データの確実性を担保する必要が生じたために、当初は想定していなかった、韓国国内の高等学校で使用される全日本語教科書分析、ビジネス日本語に関する教材分析を研究協力者とともに行い、論文にまとめたが、本研究の目的からは派生的な研究実績となる。
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今後の研究の推進方策 |
顧客会話(音声データ)は確保できたが、特に、顧客会話(映像データ)の収集に協力してもらえる日本語及び韓国語母語話者の確保に努め、データの更なる充実を図る。収集済みのデータより抽出した現象の分析を進め、日本国内外の関連学会で発表し、フィードバックを得る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
韓国語による自然発話データ(顧客会話)のデータ収集を実施できなかったことにより、収集作業にかかる調査者の旅費、データ提供者への謝金、文字起こし費用を要しなかったためである。また、データの整理及び対象現象の抽出に時間を要し、国内外の学会において研究成果発表等が行えなかったため、それに伴う旅費等を要しなかったことによる。次年度は、日本語及び韓国語による自然発話データ(顧客会話)のデータ収集のための旅費、データ提供者への謝金、文字起こし費用に使用する。また、研究成果を発信するための学会参加の旅費として使用する計画である。
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