研究3年目(最終年度)である令和元年度は、2年目までに収集したクメール語資料をもとに、複数動詞文を中心に用例を分析し、クメール語の複数動詞文に関する研究成果を発表した。具体的には、結果を表す動詞の種類とその対となる動詞を対照し、同じ動詞が連続中の出現位置によって異なる役割を果たすという先行研究の主張について根拠となる例文を検討した。次に、文学作品を主とする資料中の用例から、この2語の動詞がどのように用いられているかを調査した。研究を進めるにあたっては、まず、2年目までに収集した資料から書記言語および口語の双方の用例から、対となって現れることの多い視覚と聴覚にかかわる動詞を含む用例の分類を行った。また、昨年度までに引き続き、カンボジア及びタイの海外共同研究者から指導と助言を得たが、カンボジアの海外共同研究者からは、昨年度に執筆依頼した口語的なテキストについて、用例に関する解説および追加の用例を得た。日本国内での研究として、タイの海外共同研究者を研究拠点である大学に招へいし、研究成果として執筆中の論文の査読を受けるとともに修正すべき点について議論した。次にクメール語、タイ語のような孤立語と日本語との対照研究の観点から、動詞の用法に関する講演会を行った。さらに、昨年度に引き続き、連続する動詞の種類と組み合わせおよび動詞の間に介在する語句についての調査結果をもとに、本研究の研究成果を外国語としてのクメール語教育で実践するとともに、その一部を応用して学習教材としての語彙集を作成した。
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