本研究は『沖縄語辞典』などの定評のある沖縄語辞典を見てもくわしい例文が掲載されておらず、かつ収録語数が多いため初球沖縄語の学習者向けの辞典が存在しないことから、学習者が読解だけでなく、作文にも利用できるような小規模な辞書を作成するということを目標としていた。沖縄語学習に必要かつ役立つ比較的少数の語彙について例文の豊富な小辞典を加発することを目標とし、開始年度から定期的に辞書項目を入力しネイティブチェックを受ける作業を続けていた。しかし、2021年度末に国立国語研究所から宮良信詳2021『うちなーぐち活用辞典』が発表され、こちらで準備していた内容とかなり重複しており、かつその辞書がかなりの分量をもつものであったため、編集方針の転換に迫られていた。熟慮した結果、さらに少数の語について例文をくわしくするなどの方向を考えたか、コロナ禍ということもあって、ほぼ電話や手紙などによる方法でしか方法がなく、実地調査を行うことが大幅に制限された。そのような状況下にあったため、例文作成中に発見したいくつかの文法的な現象について考察するにとどまった(いくつかの文法現象についての下書きを作成するこことができた)。 ただし、この期間中に執筆、公刊された教科書・学習書『初級沖縄語』で大学の学部、および大学の社会連携講座であるTUFSオープンアカデミーで授業を行ったことからもさまざまな学習者のニーズを拾い上げることができた。
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