研究課題/領域番号 |
17K02718
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
岡田 祥平 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (20452401)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 書体 / フォント / パラ言語情報 / 非言語情報 / ステレオタイプ / 役割語 |
研究実績の概要 |
諸般の事情により補助事業期間延長の申請を行い,本年度が本研究課題の最終年度になる予定であった。そのことを受け,本年度は研究最終年度として,本研究のまとめの成果を出すべく,昨年度の収集した用例をデータベース化したうえで,一昨年度の研究で導き出した,現代日本語の文字言語に観察される多様な書体・フォントが持つと思われる二つの役割・機能(「語用論的な効果を伝える役割・機能」と「パラ言語情報と非言語情報を伝える役割・機能」)の妥当性を確認すべく,「発話音声を忠実に文字化したテレビ番組の字幕」に関する分析・考察を精緻化する予定であった。しかし,本年度の前半は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴う影響を受け,用例のデータベース化作業を行うためのパソコンの購入もままならなかったうえに(発注をかけてから納品まで数か月の時間を要した),所属機関からは対面作業を伴う研究活動も制限されたことも関係し,用例のデータベース化の作業の委託も叶わなかった。 そこで,COVID-19の蔓延が終息しない,いわゆる「コロナ禍」の状況でも遂行できる本研究課題に関連した研究活動を模索した。その結果として,オンラインデータベース(「阪急文化アーカイブズ」)を利用した研究の可能性をまとめる発表を行った。また,今までの研究では着目されなかった作家(鮎川哲也)の作品における役割語の用例を発掘し学会で報告したりするなどの成果を上げることができた。これらの研究成果は,前段落で述べたような本研究のまとめの成果を出すための分析に資する視点・観点として活かせる成果と位置付けることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」でも述べたように,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による大きな影響を受けたため,当初計画していた研究活動を全く推敲することができなかった。このような事態が起きるとは全く予想しておらず,研究の遂行には大きな困難に直面している。ただ,そのような状況下でも遂行できることを進めた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響に伴い,研究計画をさらに変更せざるを得なくなったため,研究期間の再延長申請を行い,幸いにも次年度も本研究課題に取り組みことが認められた。COVID-19をめぐる動向は依然として予断を許さず,先行きも不透明であり,今後の推進方策を立てるのも困難な状況ではある。しかし,COVID-19の蔓延が終息しない,いわゆる「コロナ禍」での生活も1年が経過し,「コロナ禍」でできる研究活動については,ある程度目途を立てることは可能になった。今後は,本年度の経験を踏まえ,「コロナ禍」でも可能な研究の在り方を模索し,種々の制限も伴う「コロナ禍」においても,最大限の研究成果があげられるような方法を模索し,一定の成果をあげられるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
「研究実績の概要」にも書いた通り,本年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴う影響を受け,当初行う予定であった用例のデータベース化作業を委託できなかった。そのため,人件費の執行ができなかった。また,参加を予定していた各種学会もすべてオンライン開催となり,旅費の支出もなくなった。それゆえ,次年度使用額が生じた次第である。 次年度もCOVID-19をめぐる動向・情勢が見通せない状況ではあるが,所属機関においては,(一定の条件を満たしたうえで)対面作業を伴う研究活動も許されるようになってきている。そのような流れを受け,次年度は用例のデータベース化作業の人件費に充当するなど,本研究課題に関する一定の成果を上げるべく,効果的な予算執行に留意する。
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