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2020 年度 実施状況報告書

ナラティブに基づく言語研究の展開と医療分野への応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K02731
研究機関広島大学

研究代表者

高永 茂  広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (10216674)

研究分担者 田口 則宏  鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (30325196)
吉田 登志子  岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10304320)
脇 忠幸  福山大学, 人間文化学部, 准教授 (50709805)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード医療コミュニケーション / ナラティブ / 地域医療
研究実績の概要

これまでに実施した4回のインタビュー録音(計300分)を文字化して分析を進めている。分析方法には質的分析法を採用し、ライフストーリーの研究法とSCAT(Steps for Coding and Theorization)の両方を用いている。本研究の目的は、ナラティブの分析にある。ライフストーリーの研究法は研究協力者の語りの細部まで分析が可能である。その一方で、理論化を行う際に弱点もある。ナラティブの分析では理論化あるいは一般化を行う必要はないという意見もあるが、知見を共有するにあたってはある程度理論化する必要があると考えている。
文字化したインタビューのデータを読み込むことによって、医療面接と治療、地域社会での生活の仕方などについて詳しく分かってきた。簡潔にまとめると次のようになる。
①島根県と鹿児島県の調査地の状況と生活場面の特色。地域の人たちの行動様式を学ぶこと、②医療者個人のライフストーリー。一人ひとりの患者を大事にしようとする姿勢、その姿勢を身に付けるにあたって指導者や恩師の積極的な働きかけがあったこと(教育の影響)、③地域における包括ケアシステムの現状に対する意見、④(基本的なことではあるが)共感を示すこと、主訴を正確に聞くこと、その場の「空気感」を読み取ること、患者のプライドを傷つけないこと等に気を配りながら医療行為を行っていること。このような生の声をインタビューの語りから読み取ることができた。
現在、「協働」「情報交換の場」「高齢化率」「ケアマネジャーの役割」「専門性」「訪問診療」「訪問介護」などのキーワードを手がかりとして地域医療に携わるときに必要な心構えや工夫について検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID-19が調査地域で流行しているため、現地調査ができない状況が続いている。オンラインによるインタビューを試みているものの、医療関係者が多忙であるためなかなか実現が難しい。

今後の研究の推進方策

医療者の日常業務が多忙を極めるなか、何とかして直接的/間接的に接触を試みて、インタビューを続けていく予定である。本研究が採択された当時とは異なる社会状況も生まれており、記録しておかなければならない現実、今後の地域医療に生かせる知見なども収集したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

研究計画通りに現地調査ができなかったため。COVID-19の流行が主たる原因である。
ワクチン接種がある程度進めば、計画通りに研究が進展すると考えている。研究協力者(医療者)と調査者(科研の担当者)の双方がワクチンを接種済みであれば対面によるインタビューが可能になるかもしれない。また、集団免疫が獲得される状況になれば、医療者の負担も軽減され、研究に協力してもらえる時間も増えるものと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] 総説 ヘルスコミュニケーション学の研究方法論の探究-これからの10年に向けて2020

    • 著者名/発表者名
      木内貴弘、奥原剛、上野治香、岡田宏子、石川ひろの、高永茂、中山健夫、高山智子、河村洋子、加藤美生
    • 雑誌名

      日本ヘルスコミュニケーション学会雑誌

      巻: 第11巻1号 ページ: 2-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 総説 医療における対人コミュニケーション研究のアプローチ2020

    • 著者名/発表者名
      石川ひろの、高永茂、川島理恵、野呂幾久子、藤森麻衣子
    • 雑誌名

      日本ヘルスコミュニケーション学会雑誌

      巻: 第11巻1号 ページ: 13-20

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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