今回対象とした文章データから、文の時間的流れに従来の統計分析を適用するのは妥当でないことは明らかになった。最新の状態空間モデルという方法をあてはめることで、文の流れにトレンド(文章のメリハリ)の存在が確認できた。これが本研究の学術的な意義である。社会的な意義として、トレンドを複数の作家から抽出することで、日本語書き手のいわゆる「作風」を数値的に定義できるようになる。今回の研究では数値的な定義には至らなかったが、本研究を発展させることで、「文体」と漠然と表現されている文章の特徴をルール化し、学校教育における作文指導に貢献しうると考える。
|