研究課題/領域番号 |
17K02733
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
秋山 英治 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (40636148)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アクセント / 中央式 / 式の有無 |
研究実績の概要 |
平成29年度は3地域5地点(今治・吉海・宮窪・津島・鵜島)において、インタビュー調査をおこなうことができた。津島・鵜島には、島に若年層・中年層がいないことから、老年層のみの調査となったが、他の今治・吉海・宮窪の3地点では、若年層・中年層・老年層の3世代の調査をおこなった。 今治での老年層の調査結果については、同じ中央式の愛媛県松山の調査結果もとりあげ、これらの地点において、とくに漢語アクセントに注目して分析・考察をおこなった。分析・考察した結果については、①日本音声学会第31回全国大会(2017年9月)で口頭発表(「漢語類別語彙の検討」)をおこなうとともに、②論文(「愛媛県東中予方言の2字漢語のアクセント」『愛媛大学法文学部論集人文学編』第44号、105-134、2018年2月)として著した。①では、他地域の漢語アクセントとの比較を通して、先行研究で提唱されている漢語類別語彙について、すべての類・語を類別語彙として認定することができない可能性があることを指摘した。②では、今治・松山は、京都よりも古い漢語アクセントであること、また2字漢語のアクセントに、前部要素の音節構造、とくに促音が関与していることを指摘した。 今治周辺域の調査によって、これまで中央式と思われていた地域に、中央式以外の類別体系をもつ地域(今治市津島)があることが明らかになった。 調査で得られたデータについては、データベース化(「芸予諸島方言アクセントデータベース」)を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度に調査を予定していた伯方島・大三島の調査をおこなうことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に調査をおこなうことができなかった伯方島・大三島の調査をおこなうとともに、平成30年度以降予定している地域での調査をおこなう。これらの調査結果をもとに、芸予諸島のアクセントの実態を解明するとともに、「しまなみ海道」開通による影響について考察する。調査で得られた結果について、データベース化(「芸予諸島方言アクセントデータベース」)し、公開できるように進めていく。 さらに、いわゆる「京阪式アクセント」から「東京式アクセント」が誕生したという仮説の検証をおこなう。
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