研究課題/領域番号 |
17K02747
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
武黒 麻紀子 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (80434223)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 言語人類学 |
研究実績の概要 |
社会記号論系言語人類学的アプローチから、ミクロな言語実践データをよりマクロな社会文化史的状況とのかかわりで論じる、つまり、言語実践のありさまを離島という周縁地域での生活環境や地域社会に根付く儀礼・慣習、歴史的視座から考察することを目的とする本研究課題において、2017年度は2つの成果をあげた。 一つ目は、データ収集である。2017年度は儀礼に焦点を当てて、旧盆の行事が行われたときに、石垣市内のいくつかの地域でデータを収集した。特に、ある地区で青年団2人が長老者と方言でやりとりをしている場面では、その様子について語る地元の人々の会話、およびその長老者へのインタビューも行い、方言に関して、島の長老、若者両者から長いメタ言語コメントを得た。旧盆行事の空き時間には、竹富島や波照間島に赴き、方言札やそこでの旧盆行事のデータ収集やことばや社会関係についてインタビューを行った。 二つ目は、学会発表と研究成果の論文作成である。これまでに集めた島出身者と移住者の相互行為を分析すると、調和的に見受けられる両者の間にも、なんらかのdiscordance(不調和・不一致)が緩い形ではあれ多層的に存在することに着目し、2017年7月Belfastで行われた国際語用論学会で2件の発表をした。また、2016年度より取り組んでいたdiscordanceに関する編著書の序章と単著論文を書き終え、2018年中にひつじ書房から出版される運びとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
儀礼のデータ収集が順調に進んでいる。また、計画通り、ディスコーダンスをテーマにした編著が2018年中に出版されることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
データ収集に注力すると同時に、より人類学的な文献を精読し、理論的枠組みとして使えるように努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
パソコンを買い替えることを考えていたが、2018年度中に在外研究に出るため、その折まで待つことにした。また、2017年度中にデータ収集に出かける予定でいたが、風邪のため出張をキャンセルしたことなどがあり、使用額に差が生じた。
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