研究課題/領域番号 |
17K02747
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
武黒 麻紀子 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80434223)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 言語人類学 / 詩的実践 / 儀礼 / 相互行為 |
研究実績の概要 |
コロナ禍も2年目に入り、フィールドワークに出かけることが困難な社会情勢が続いていたため、一度も現地調査に行くことはなかった。しかし、その分の空いた時間に論文執筆を進めることができた。 まず、旧盆のアンガマ儀礼におけるユーモア・笑いについて分析した論文は、2022年6月に出版されるの"Humour in Asian Cultures: Tradition and Context"への掲載が決まった。"Pluri-Modal Poetic Performance of Banter: The Angama Ritual on Ishigaki Island in Japan"という論文では、子供相手と大人相手のアンガマ儀礼に見られる違いと共通点を探り、どちらの場合も地域の価値観を継承する意味合いをもって、言語・身体・事物・環境・世界観というプルリモーダルな側面が関わる詩的実践の一例であることを示した。 これとは別に、us versus themの二項対立的で相手を他者化する実践が繰り返し行われている相互行為の分析から、他者化を通して生まれるアイデンティティと島での社会関係について英語で論文を書き、編者に送った。これは2022年度に本格的に出版に向けた手続きが始まる。 さらに、2021年6月に国際語用論学会でポエティクスについてのパネルを企画し、発表も行った。それをもとに『ポエティクスの新展開』という編著のとりまとめも別の研究者らとともに行った。その編著の中には、豊年祭にまつわる挨拶やナラティブを民族詩学的に分析した「島の祭りのポエティクス」論文とフィールドワークにまつわるコラムを掲載することとなった。 このようにフィールドワークにいけなかった分、日本語と英語の論文をそれぞれ2章ずつ、出版する準備を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍でフィールドワークに出かけていけなかった分、執筆に注力することができ、出版自体は2022年度にずれ込むことになったが、複数の論文の出版が決まったため。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍で中断せざるを得なかったフィールドワークを再開し、データや考察の中で不明な点や質問のある箇所を参与者や地域の方々に聞き、問いを解決する。最終年度となるので、アイデンティティと相互行為について、また、儀礼の詩的実践について、日本語と英語の論文を編著の章としてそれぞれ2本ずつ出版する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、フィールドワークや学会に行くことができず、旅費がまるまる残ることとなったため。
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