研究課題/領域番号 |
17K02752
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
村杉 恵子 (斎藤恵子) 南山大学, 外国語学部, 教授 (00239518)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Mimetics / Agglutinative languages / innovative compound / child language / food descriptions |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトは、心理言語学分野の一つである母語獲得のメカニズムについて、現代言語理論の枠組みで考察するものである。特に幼児の初期文法に関し、時制句を中心として統語構造がいかに獲得されるのかに焦点をあて、幼児(1歳から2歳の初期段階)の産出に多く観察されるミメティックス(擬態語など)は、どのように動詞と項構造の獲得に関わるのかを理論的実証的に分析し、その獲得理論について、音象徴理論にも鑑みつつ、主に生成文法理論の観点から理論的実証的研究を行う。 科学研究費プロジェクト2年目にあたる2018年度は、2017年度の研究を基礎として、第一に大人の文法(若者言葉など)にあらわれるMimeticsを含む創造的な語彙(サクうまなスイーツ、フワトロなオムライスなど)の形態的文法的特徴について考察し、日本語の文法にはMimetics(擬声語・擬態語・擬情語)がどのように多用されるのかについて記述的に整理し、一般化した上で、分析を加えた。この成果については、名古屋大学准教授秋田喜美氏との共同研究として、2018年5月にカナダはトロントで行われた学会にて口頭発表し、その成果の一部を2019年2月にはNanzan Linguistics 14にまとめた。更に、2018年5月トロントでの口頭発表を見直し、分析を深め、論文としてまとめた。2019年5月現在、この論文に関しては査読結果を待っている段階にある。 また、なぜ日本語の文法にはMimetics(擬声語・擬態語・擬情語)が多用されるのかについて、2018年度には、言語獲得の側面から、日本語を獲得する幼児に多くの創造的なMimeticsが観察されることを記述的に指摘し、そのうえで、その特徴は、日本語が膠着的な特徴をもつためである可能性を指摘し、その研究成果を書籍『レキシ献研究の新たなアプローチ』の一章として、単著でまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究を進めるにあたり、まず、大人の文法について、Mimeticsに関して研究を推進した。他大学の研究者とも意見を交換し、資料を整理し、分析する機会に恵まれた。その成果の一部はカナダ・トロントで口頭発表し、更にその口頭発表を基に、本研究プロジェクトを推進し、(英語を用いて)二本の論文をまとめることができた。 また、本プロジェクトの目的であった言語獲得におけるミメティックスに関する問題について、単独で研究を進め、その成果を『レキシ献研究の新たなアプローチ』の一章として出版した。 2019年度に予定していたまとめの部分が前年度に成果としてまとめることができたことから、当初の計画以上に進展した年度であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究プロジェクトの最終年度にあたる今年度は、目的として掲げている内容に関してまとめ、英語を用いて論文として出版したい。 また2019年度夏にはMimeticsに関するワークショップ(国際ワークショップ)を開催する予定である。 それらをもとに、更に研究を深め、日本語にはなぜミメティックスが文法(特に動詞、名詞、副詞、形容詞)に多用に取り組まれているのかについて、類型論的な視点を含め、今後に向けて、更に分析を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定されていた渡航(米国)が、体調不良等により実行できなかったため。
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