研究課題/領域番号 |
17K02752
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
村杉 恵子 (斎藤恵子) 南山大学, 国際教養学部, 教授 (00239518)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 生成文法理論 / 第一言語獲得 / 言語間変異 / パラメター / Mimetics / 類型論 / 言語獲得理論 / Root Infinitives |
研究実績の概要 |
2020年度もプロジェクトの趣旨に沿った研究を進めた。出張を伴う記述的研究については、コロナ禍により行うことができなかったが、得られた成果のうち特筆すべきものとしては、以下の二点があげられる。 第一点目として、幼児の第一言語獲得に見られる初期段階の特徴について、総括的に比較言語学的に理論的分析を行い、研究成果をまとめ学術雑誌に投稿した。日本語でMimeticsが多く自発的に産出される二語文期には、英語においても語順や時制において大人の文法とは異なる特性がみられることを記述し、それはなぜなのかについて、生成文法理論(ミニマリストプログラム)のもとで考察した。具体的にはミニマリスト理論の仮定する普遍文法のひとつであるラベリングのメカニズムには言語間相違がみられることを提案した。この研究は、2020年から開始した科研による研究と、意義の上で重なる部分があり、そこで得られた知見もとりいれながら、それらの成果を国際ジャーナル(査読付き)に研究を発表した。また東北大学で行われたワークショップ(8月)や、韓国で行われた学会(2月)にも招聘され、口頭発表した。 第二点目として、名古屋大学准教授とともに、15回ほど南山大学(村杉恵子・本務校)のZOOMを用いて定期的に研究会を開催した。その成果は、南山大学言語学研究センター主催の国際ワークショップとして発表された。世界の言語を見渡すと、擬態語や擬情語などのMimeticsの豊かな言語とMimeticsが豊かではない言語が存在する。それはなぜなのか。言語間相違は何に由来するのか。Peter Sellsなどのイギリスの研究者やMichael Barrieなどの韓国の研究者を招いてワークショップを開催し、活発な意見交換が行われた。その成果をもとに、本研究プロジェクトは延長され、学会発表にむけて追求されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定されていた出張などによる学会出席や意見・資料交換は、COVID-19パンデミックによる緊急事態宣言ならびにそれに準ずる対応の求められる中では、実行することはできなかった。
一方、ZOOMなどによる会議や意見交換を行うことによって、国際ジャーナルや学会において発表できたことは有意義な成果であったといえよう。このたびの科研プロジェクトの延長が許されたことにより、時間をかけて成果をまとめることができたが、さらに、このプロジェクトとは独立した別のプロジェクトの関係者とも、より広く連絡がとれるようになり、結果的に、当初の予定よりも、より深みのある成果につながったといえるのかもしれない。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に行ったワークショップや意見交換などを基礎として、本年度は、最終年度として、これまでの成果をMimeticsの豊かではない言語も多く存在するヨーロッパでの学会で発表した。その上で、本プロジェクトの結論を論文としてまとめることをめざしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究プロジェクトのまとめとして、国際ワークショップを行い、また国際学会への発表を目指していたが、コロナ禍で渡航が不可能となった。状況が整い次第、遂行したい。
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