昨年度に引き続き,発話行為タイプごとに指差しの持つ態度表明的機能(非指示的特性)の種類・バリエーションを明らかにすべく,分析・考察を進めていった.国立国語研究所の「日本語日常会話コーパス」のデータも使用して,分析・考察を進めた結果,発話の受け手に向けて産出される非指示的な指さしは,想起(recollection)の開始部で繰り返し用いられていることが判明した.しかしながら,想起の際に必ず使用されるわけではなく,想起が生じる発話環境の位置,想起するまでの「努力(effort)」の程度など,全容を解明するまでには至っていない. また,本年度は本研究課題の最終年度ということもあり,現在,成果の一部を国際専門誌への投稿に向けて,論文を執筆中である.さらに,本年度の研究成果の一部を2021年6月27日から7月2日にかけて開催される国際語用論学会にて発表する.
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