研究課題/領域番号 |
17K02769
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
白勢 彩子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00391988)
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研究分担者 |
北村 達也 甲南大学, 知能情報学部, 教授 (60293594)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日本語音声 / モーラリズム / 調音運動の計測 / 磁気センサシステム / 口唇運動の観察 / 日本語非母語話者 / 児童 / 遠隔によるデータ収集 |
研究実績の概要 |
本研究では,従来,直接的に観察されることのなかった日本語長母音の発声に焦点を当て,調音運動を記録・観察できる,非侵襲性の運動計測システムを用いて,モーラリズムを実証的に検討する。検討に当たっては,日本語母語話者の成人および児童,日本語を母語としない言語話者を対象にデータを収集することを計画しており,本年度は日本語を母語としない話者(韓国語話者,フランス語話者)および児童の話者を対象とした発話収集の調査を実施する予定であった。 日本語非母語話者を対象とした実験では,計測機器を装着して発話を求めることから,遠隔・非接触の実験が難しい研究課題であり,かつ,飛沫感染の可能性が高い。本年度は,新型コロナウィルスの影響により,実験の実施は全て延期したことから,実験データの収集が叶わなかった。そこで,昨年度に続き,期間を次年度に延期することとした。従来,取得してきた母語話者のデータについては解析が終了しており,発話生成モデルを含め,長母音の生成機構について議論を進め,投稿を準備している。成果の一部については,音声コミュニケーション研究会資料1-1に公表した。 児童を対象とした発話生成実験では,当初の予定から変更して,遠隔での実験を実施した。マニュアルの整備,指示動画を丁寧に作成することにより,実験指示者が同席していなくとも,データ収集が可能となるよう工夫した。昨年度の収録機材等の試作に基づき,10名の話者からのデータを取得した。これについては,分析担当者を雇用し,収集したデータを解析した。これについては,日本音響学会の2021年秋季研究発表会にて成果を報告した。 未実施分については,次年度に延長の申請を行い,研究の進展を図る。近接かつ接触する実験内容であることから,非母語話者への実験は,新型コロナウィルスの鎮静化あるいはワクチンの定着が認められた後に再開する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」欄に記したように,COVID-19の影響により,非母語話者を対象とした実験を全く実施できていないことから,研究は遅れている。児童を対象とした発話実験では,遠隔によるデータ収集に成功したものの,送付の時間や機器類のクリーニング等,多くの時間がかかることから,目的の人数を達するに時間が必要となっている。
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今後の研究の推進方策 |
児童については,遠隔によるデータ収集が実現可能であったことから,継続して実験を進め,人数を拡充する。非母語話者を対象とした発話生成実験については,ワクチン接種や直前のPCR検査等によりCOVID-19の感染拡大を防止しつつ,データ収集を慎重に進める。 ただし,非母語話者を対象とした発話生成実験は口腔内に接触してセンサを取り付けることが必須の手法であることから,超音波を用いた撮像など,他の手法についても検討を進めている。超音波を用いた発話実験については,共同研究者が関わる実験が神戸大学にて進められており,機材の視察に行き,議論を行なった。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により,実験が実施できず,延期せざるを得なかった。
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