研究課題/領域番号 |
17K02774
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
江口 泰生 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60203626)
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研究分担者 |
駒走 昭二 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (40409917)
久保薗 愛 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (80706771)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ロシア資料 / タタリノフ / ゴンザ / レザノフ / レクシコン / 友好会話手本集 / 世界図絵 |
研究実績の概要 |
『レクシコン』の翻字翻刻解読は江口作成の原稿(一部は紀要などに公表済み)を米重文樹の協力を得て修正し、ほぼ完成した。それに江口執筆の解説、米重執筆の解説が完成した。それらをまとめて、完成原稿を東洋学写本研究所へ送付した。東洋写本研究所のポポワ所長に巻頭言、ワシリー研究員に文章を寄せてもらうためである。また東洋写本研究所からは電子画像の料金の提示があり、それを了承し、次の段階に入ったと思う。 これらに伴う研究成果は、一つに、2019年6月29日に九大国語国文学会に「ロシア資料と日本語音韻」というタイトルで講演することが決まっている。ゴンザ資料のエ列の二種に書き分けがあることはすでに論文としているが、その二種の区別のあるところは現代日本語の拗音にあたる個所と、上代特殊仮名遣いに二種の区別のあるところを足したような分布をしていることを指摘、エ列乙類はア段と交代、アイ連母音からの変化したエ、一音節語、などの特徴を持ち、文法的な支えを持っていることが指摘できる。これはゴンザ資料のエ列の書き分けとよく対応するところがあって、新たに生じたエ列は「書いて→ケテ」のような文法的な形態交代に支えられている。このことを中心に発表し、さらに時間があれば、『レクシコン』のエ列にも触れたい。 また久保園氏は「鹿児島方言を反映するロシア資料における格助詞во(ヲ)の機能」というタイトルで口頭発表する予定である。 また江口は2019年6月末締め切りの『筑紫語学論叢 Ⅲ』(風間書房)、2019年9月締め切り予定『坂口至退職記念論文集』に投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年1月に江口の父が手術することになった。病理検査で脂肪肉腫であることが判明し、3月に再発し入院、7月に旅立ってしまった。あまりに急な出来事で、こうしたことの影響でしばらく研究が手につかず、進展しなかった。そのなかで『レクシコン』の原稿をまとめることができたのは、自分なりにはよく頑張ったと思う。
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今後の研究の推進方策 |
『レクシコン』の原稿はほぼ完成したのだが、そこへポポワ所長の巻頭言、ワシリー研究員の文章を寄稿してもらう予定であるが、応答が得られず、一旦、とどまっている。その状況をお知らせ願うことをしなければならない。また『レクシコン』の画像の入手について、料金の提示があり、それで了承した旨をメールしたが、その後の進展、反応が得られていない。このあたりは交渉であるから、頑張らなければならないと考えている。 『友好会話手本集』については、久保園、駒走両氏の作業待ちであるが、順調に進んでいると聞いている。
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次年度使用額が生じた理由 |
『レクシコン』などの画像データの料金を捻出するため、その料金分である。電子データ1カットについて26ドルの請求がある。『レクシコン』は51コマあるし、『世界図絵』は239コマあるからである。今後の交渉の進捗によって、どの時点で画像データを入手できるかは不透明なところはある。
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