研究課題/領域番号 |
17K02776
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐々木 勇 広島大学, 教育学研究科, 教授 (50215711)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 宋版一切経 / 音釈 / 大般若経 / 大般若經音義 / 大般若波羅蜜多経 / 釈音 |
研究実績の概要 |
本年度は、宋版一切経の音釈ならびに『大般若波羅蜜多経(大般若経)』の日本古訓点資料の資料収集を継続しつつ、醍醐寺蔵開元寺版『大般若経』音釈のデータベース化を進行させた。 1.資料収集では、東寺蔵の東禅寺版『大般若波羅蜜多経』音釈原本調査を継続した。また、院政期~南北朝期の『大般若波羅蜜多経』訓点資料ならびに『大般若経音義』を収集した。 2.宋版一切経『大般若経』音釈のデータベース化の推進では、昨年度から始めたデータ入力を継続し、前年度に入力を完了した醍醐寺蔵開元寺版の音釈データを活用しつつ、東禅寺版・思渓版・磧砂版の音釈データの入力を開始した。 3.上記データ入力作業進行に必要な宋版一切経の原本調査を進めるとともに、院政期~南北朝期の『大般若波羅蜜多経』の日本における訓点資料、ならびに『大般若経音義』の原本閲覧を行った。 本補助金を活用した研究成果として、佐々木 勇「宮内庁書陵部蔵『大般若波羅蜜多経』磧砂延聖院版の字音点について」(「訓点語と訓点資料」第141輯(pp.1-13)、平成30年9月)、佐々木 勇「根津美術館蔵春日若宮『大般若波羅蜜多経』の字音点について」(沖森卓也編『歴史言語学の射程』(pp.223-236)、三省堂、平成30年11月)、佐々木 勇「和泉市池辺家蔵「相州新大仏一切経」の底本」(「広島大学大学院教育学研究科紀要」第二部第67号(pp.1-9)、平成30年12月)を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宋版一切経・大般若經音義・大般若經古訓点資料所蔵者のご理解を得ることができ、調査・研究を予定どおりに進行することができている。醍醐寺・東寺・大東急記念文庫・海の見える杜美術館等、所蔵者・所蔵機関に御礼申し上げたい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、最終年度である。漢字音情報データの最終確認とその分析・研究を行ない、研究成果公表の準備を進める。 1.初年度からの宋版一切経諸版音釈ならびに『大般若経』日本古訓点資料・音義のデータベースを完成させ、データの確認作業をする。 2.上記のデータを活用して、宋版一切経諸版音釈の異同を明らかにし、院政期~南北朝期の『大般若経』日本訓点資料ならびに『大般若経音義』への影響について考察する。 3.本研究の最終段階まで、原本による確認が必要であることが予想される。必要が生じた場合、すみやかに原本閲覧に出向く。 4.本研究のまとめを行なうとともに、研究成果公表のための準備を進める。
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