研究課題/領域番号 |
17K02779
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
青木 博史 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (90315929)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 近代語 / 文法化 / 複合動詞 / 語用論 / 談話標識 |
研究実績の概要 |
本年度における研究業績は,以下の通りである。
①論文「補助動詞の文法化―「一方向性」をめぐって―」(『日本語文法』19巻2号,日本語文法学会,pp.18-34,2019年9月),②共著『よくわかる言語学』(窪薗晴夫編,ミネルヴァ書房,担当「歴史言語学」pp.134-143,2019年10月),③講演「抄物の接続詞―文献資料と言語史―」(「抄物の文献学的研究」講演会,京都大学,2019年5月11日),④発表「接続詞と文法化―中世後期「抄物資料」を中心に―」(第4回「日本語と近隣言語における文法化」ワークショップ,東北大学,2019年11月30日)。
古代語から現代語への過渡期である近代語に注目したものとして,いずれも重要な成果である。①は,いわゆる「テ形補助動詞」の文法化について,特にその「一方向性」を検証したものである。「やる/くれる」の視点制約の成立,「ござる」の丁寧用法の発生という2つの文法変化について,必ずしも「本動詞から補助動詞へ」という方向での意味・機能の“受け継ぎ”を想定する必要がないことを述べた。実証的側面・理論的側面の両面において,重要な観点であると言える。複合動詞,特にテ形補助動詞に関するテーマは,2020年度も引き続き考察を深め,ある程度まとまった形で成果を示したい。③④の「接続詞」は,“談話標識”というタームの下,語用論や談話分析の観点から注目を集めるテーマである。今年度における口頭発表では,特に中世日本語における重要なデータをいくつも示した。海外の研究者を含め多くの反響が得られており,2020年度のうちに活字化する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文発表は1本にとどまったが,「近代語文法の体系的研究」という課題にふさわしく,いくつもの重要な文法現象について様々な観点からアプローチしており,現在までの進捗状況はきわめて良好である。最終年度に向けて順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題については順調に進展しており,引き続き進めていく。最終年度には,まとまった成果を示したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により,年度末の出張がキャンセルになったため。次年度において,合わせて執行する。
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