研究課題/領域番号 |
17K02780
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高山 倫明 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (90179565)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 音韻史 / ヲコト点 / 漢文訓読 |
研究実績の概要 |
九州大学附属図書館所蔵、春日政治・和男文庫所蔵石山寺本金光明最勝王経十巻(奈良時代書写)について、前年度に引き続き、研究資料の収集と整理、及び諸情報のコンピュータ入力を鋭意推進した。また、スキャンした画像データをもとに、その仮名点・ヲコト点等に基づいた訓読文の作成を推進した。その際、訓読の史的変遷を念頭に、春日政治『西大寺本金光明最勝王経古点の国語学的研究』の訓読文と対照させる形で行い、現在巻三までほぼ完成させている。併せて、九州大学大学院人文科学府の講義「日本古代語史研究Ⅲ―古代語の研究―」の一環として大学院生とともに当該資料を読み進め、古代日本語の音韻や日本漢字音の諸問題について種々討議し、見解を深めた。 また、そこでの討議を踏まえつつ、日本近代語研究会における講演(「「うむの下濁る」の終焉― もう一つの近代語化 ―」2018年10月12日、於岐阜大学サテライトキャンパス)において、古代語と近代語とを分かつ、清濁の弁別的特徴の変化をめぐる見解を公表し、また、「「字余り法則」小考」(『語文研究』126号、2018年12月発行)において、古代日本語の韻律構造に関する先行研究を批判的に検証するとともに、あらたな見解を示すことができた。 春日政治・和男文庫のうち、九州大学文学部高山倫明研究室に別置している和本・洋装本・ノート類の目録を完成させ、重複本の整理等を行った。九州大学国語学・国文学講座初代教授の蔵書であり、大学史、講座史の貴重資料として長く保存されることを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
訓読文の完成に向けて検討を推進する。併せて文学部高山倫明研究室に別置している春日政治・和男文庫の洋装本・ノート類の設置場所につき、附属図書館と協議を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
全10巻の訓読文作成には時間的な困難があり、引き続き進めていく予定。
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