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2017 年度 実施状況報告書

式亭三馬の蔵書研究―三馬の言語描写との関係から―

研究課題

研究課題/領域番号 17K02783
研究機関川村学園女子大学

研究代表者

長崎 靖子  川村学園女子大学, 文学部, 教授 (60419794)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード三馬蔵書印書 / 三馬自筆の識語 / 浄瑠璃本 / 『淡路詞』 / センボウ
研究実績の概要

今年度は、関東圏の中で、特に東京都立中央図書館の調査を中心に進め、その途中で、新たに都立中央図書館に、三馬蔵書印書2冊を発見した。これにより、都立中央図書館の三馬蔵書印書は53冊になった。また、29年度に計画していた識語の調査を進めるため、関東圏内にある識語の資料の調査に加え、関東圏外で、大阪大学附属図書館、大阪府立中之島図書館、西尾市岩瀬文庫に赴き、調査を進めた。三馬の識語に関しては、自筆の仮名字体の資料とするため、随時字母翻刻を行っている。識語のある書は、現在のところ国会図書館所蔵の21冊を加え72冊あることを確認しており、三馬自筆の識語における仮名字体資料として、量的に満たされてきていると考える。
さらに、今年度は三馬の言語描写に影響を与えた浄瑠璃本の調査も進めた。その関連から、三馬の著作に頻繁にみられる「センボウ(浄瑠璃の楽屋言葉)」と、同時代のセンボウ資料と考えられる『淡路詞』(大阪大学附属図書館所蔵)との比較を試みた。この成果は、「式亭三馬の言語描写―センボウを資料として―」(『近代語研究』第20集所収)の中で発表している。
この他、三馬蔵書印書の調査を進める中で、新たに東北大学附属図書館所蔵の三馬蔵書印書5冊、名古屋市蓬左文庫所蔵の三馬蔵書印書2冊を見つけ、調査に赴いた。。これにより、国会図書館の三馬蔵書印書96冊を含め、現在までのところ、三馬蔵書印書は258冊確認できている(本数値の中には大英図書館所蔵等、海外の所蔵本も含まれている。現在その中の1冊は、国文学研究資料館でマイクロフィルム化されており確認しているが、その他は国文学研究資料館のコーニツキー・欧州所在日本古書総合目録データベースで名称だけ確認している)。現在、これらの三馬蔵書印書の整理を随時進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度予定していた関東圏を中心とする三馬蔵書印書の調査は一通り終わっている。しかし、大東急記念文庫所蔵の三馬識語がある三馬蔵書印書に関しては、識語の中で不明の文字があり、再度調査する必要がある。これを除いた三馬の識語に関しては、ほぼ字母翻刻を終えている。
また、関東圏以外での調査の中では、新たに三馬蔵書印書として東北大学附属図書館所蔵の5点、名古屋市蓬左文庫の2点を見つけ、この中に含まれている識語に関しても字母翻刻を終えている。
また、今年度は、三馬の言語描写に影響した浄瑠璃本の調査を行ったが、その関係から三馬の著作に見られる「センボウ」に関する小稿「式亭三馬の言語描写―センボウを資料として―」(『近代語研究』第20集所収)を発表するに至った。
今年度予定していた識語の撮影はカラー複写で代替することができた。従って、全体としてはほぼ予定通りに進められたと考える。

今後の研究の推進方策

平成29年度に予定していた三馬蔵書印書に記された識語調査の中で、大東急記念文庫所蔵の書に関しては再度調査の必要があり、字母翻刻がまだなされていない。今年度再調査し、翻刻を進める。
また、今年度は式亭三馬の著作に使用される唐話に関し考察を進める予定である。三馬蔵書印書として国立国会図書館所蔵『五色賦』、九州大学附属図書館所蔵『雑纂訳解』、大東急記念文庫所蔵『和唐珍解』の他、昨年度の調査の中で、三馬蔵書印書として都立中央図書館所蔵『南山俗語考附録(長短雑話)』があることを知った。本年度は本書の調査を含め、唐話関係の三馬蔵書印書が三馬の著作の言語描写に与えた影響に関し考察を進める。これに加え、三馬蔵書目録の作成を継続して行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

(理由)直接経費支出の際、端数が生じたため。
(使用計画)端数4691円に関しては、今年度調査旅費の中で使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 式亭三馬の言語描写―センボウを資料として―2018

    • 著者名/発表者名
      長崎靖子
    • 雑誌名

      近代語研究

      巻: 20 ページ: 261-278

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公開日: 2018-12-17  

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