研究実績の概要 |
2019年度は本研究の最終年度であり、これまでの2年間の研究成果をまとめることが目標であった。2019年度、代表者は勤務校より1年間の長期研修の機会を得、国内外の様々な学会・研究会・大学・研究機関を訪問する機会を持った。本年度に行った研究発表は以下の4回である。(1)「現代日本語の表記と文法」中華人民共和国・杭州市杭州富陽区実験中学(5月11日)、(2)「日本語教育のための現代日本語文法研究再考―条件表現「と・ば・たら・なら」の教え方を母語話者の作成分と教科書の例文の比較から考える」早稲田大学日本語教育研究科(7月25日)、(3)「多文化社会における表現リテラシーを考える-学習者の日本語をどこまで許容するか-」(ワークショップ:高梨信乃・高橋美奈子と共同発表)2019CAJLE(カナダ日本語教育振興会)年次大会、カナダ・ヴィクトリア大学(8月6日)、(4)「日本語文法と日本語教育-テ形の作り方と「は・が」の違い-」ミャンマー・国際交流基金ヤンゴン日本文化センター(8月19日)。このうち(2)については、研究論文としてまとめ、学会誌に投稿中である。 本年度は、特に海外の研究機関を訪問した関係で、本研究のテーマである複文の記述的研究にとどまらず、現代日本文法の全体像に関する議論に触れることが多くあった。その成果は以下の2つの概説書の分担執筆に反映されている。(5)『日本語学入門』滝浦真人編著(放送大学教育振興会)執筆担当・第7~9章(2020.3.20)、(6)『やさしい日本語のしくみ-日本語学の基本―改訂版』(くろしお出版)庵功雄・日高水穂・山田敏弘・大和シゲミと共著、執筆担当8,11,16,21,25,27,コラム5(2020.4.1)。 本年度は条件表現に関わって、助詞「は」「が」の使い分けについても複文研究の観点から研究を進めることができた(上記(4)参照)。
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