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2023 年度 実績報告書

副助詞を中心とした日本語文法史の多角的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02787
研究機関聖心女子大学

研究代表者

小柳 智一  聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (80380377)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2024-03-31
キーワード鈴木朖 / テニヲハ / 類推 / 群化 / 副助詞 / 孤例
研究実績の概要

当年度は、第1に、文法変化に関する理論的な研究の一環として群で起こる変化についての研究を行った。ある語に起こるのではなく、「二段の一段化」のように語群単位で起こる変化がある。このメカニズムを、亀井孝の「群化」の概念を精密化し、本質的に群が有する特徴に基づいて説明した。研究成果は論文として刊行した(「一から多への言語変化―類推と群化―」『日本語と近接言語における文法化』2023.8)。
第2に、これまでに行った文法変化に関する理論的な研究を総括し、日本語文法史における機能語生産を概観した。個々の変化を事例化することによって一般化する方法を実践的に紹介する一方で、一般化から漏れる個別変化の重要性も合わせて示した。研究成果は口頭発表した(「日本語文法史と文法変化研究」日本歴史言語学会2023年大会シンポジウム、2023.12)。
第3に、昨年度からの継続で、鈴木朖(1764-1837)著『言語四種論』の独特の「テニヲハ」に関する研究を進めた。朖の「テニヲハ」が、感動詞・副詞・助詞・活用語尾・助動詞を雑多に含む理由を明らかにし、そこに荻生徂徠(1666-1728)と本居宣長(1730-1801)の影響があることを指摘した。研究成果は論文として刊行した(「鈴木朖の「テニヲハ」―『言語四種論』読解・続―」『近代語研究』24、2024.3)。
第4に、副助詞研究の一環として、副助詞の孤例の考察を行った。これまでその異様さに気づかれていなかった副助詞の相互承接例があり、その孤例が孤例である意義を探り、文学作品の技巧と深く関わることを示した。研究成果は論文として刊行した(「かもめさへだに―副助詞の相互承接の孤例―」『国語研究』87、2024.2)。日本語史研究者は古典文学作品についての見識と発信が求められ、今後は文学研究へ応用可能な語学研究の領域が開拓されるべきだと考えた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 鈴木朖の「テニヲハ」―『言語四種論』読解・続―2024

    • 著者名/発表者名
      小柳智一
    • 雑誌名

      近代語研究

      巻: 24 ページ: 187-211

    • 査読あり
  • [雑誌論文] かもめさへだに―副助詞の相互承接の孤例―2024

    • 著者名/発表者名
      小柳智一
    • 雑誌名

      国語研究

      巻: 87 ページ: 49-65

    • 査読あり
  • [学会発表] 日本語文法史と文法変化研究2023

    • 著者名/発表者名
      小柳智一
    • 学会等名
      日本歴史言語学会2023年大会
    • 招待講演
  • [図書] 日本語と近接言語における文法化2023

    • 著者名/発表者名
      青木博史、北崎勇帆、小柳智一、ジスク マシュー、柴崎礼士郎、下地理則、高橋圭子、ナロック ハイコ、東泉裕子、宮地朝子、李佳木+梁
    • 総ページ数
      336
    • 出版者
      ひつじ書房
    • ISBN
      978-4-8234-1169-4

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公開日: 2024-12-25  

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