研究課題
基盤研究(C)
本研究は平安期鎌倉期それぞれの日本語において、助詞が下接しない名詞句が、情報伝達上どのような役割を担い、それがどのようなシステムで運用されていたのか、その全体像を明らかにすることが目的である。無助詞名詞句には多様な格成分が見られるものの、平安期鎌倉期をとおして約96%がガ格かヲ格であり、その分布の様相は名詞が有生であるか無生であるかによって大きく異なっていた。無助詞名詞句の運用は、有生名詞は対象になりにくく、無生名詞は行為者ではないという理解のもと、行われていると結論付けた。
日本語史
無助詞名詞がどのような述語と対応し、どのような格成分として分布しているのか、無助詞名詞が有生なのか無生なのかによって、その分布の仕方にどのような影響をもたらし、それはなぜなのかについて研究をした。このような研究を通して、これまで断片的に捉えられていた無助詞名詞の運用システムを共時的・体系的に位置づけることができ、またこの結果を踏まえることにより、古代日本語の言語類型的研究の発展も期待できる。