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2017 年度 実施状況報告書

「朝鮮資料」から見た中・近世口語の変遷

研究課題

研究課題/領域番号 17K02793
研究機関京都産業大学

研究代表者

朴 真完  京都産業大学, 外国語学部, 准教授 (90441203)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード朝鮮資料 / 外国資料 / 口語 / 対照研究
研究実績の概要

明治十四年(1881)版外務省蔵版「交隣須知」稀覯本とされ、(韓国)釜山市民図書館本の他、日本国内では浜田敦氏所蔵本(零本)、福島邦道氏所蔵本の計3種の存在のみ知られていたが、東京外国語大学図書館には全部で23種(図書記号K/II/234~256)の異本が確認できる。
本年度は、東京外大所蔵本『交隣須知』の記述内容を既存本と比較しながら、19世紀末から20世紀初にわたって起きた言語変遷について調べた。その結果、日本語と朝鮮語の口語における通時的変化、つまり両国語の表記や表現を当時の言語現実に合わせるための修正が施されていることが分かった。
修正は2段階に分かれ、まず東京外大所蔵本の中で共通して現れる内容として、誤字・脱字などの誤植を直すなど印刷上の缺陷を補完する目的の修正がある。これらは、さらに墨書と朱書の二種に分けられるが、生徒に交付される前に施された修正として、教授による校訂のような性格を帯びる。
一方、東京外大所蔵本の23種の異本には鉛筆による書き込みが散見するが、これらは当時の朝鮮語学科在籍生が授業中に記録したメモ書き、つまり生徒各自による修正に該当する。その内容を見ると、古い表現を新しい表現に替えた例の他、敬語度を回復させるための修正などが見られる。
以上の修正は、改訂版に当たる再刊本(1883)と校訂本(1904)からは確認できない記述として、その資料的価値が高い。特に生徒各自による修正内容を分析することによって、口語における言語変化に関して把握可能となる。今後は、同時代に日本・朝鮮国内で刊行された他文献との比較・対照研究を通して、以上の修正内容が当時口語の一般的な様相に該当するか否かについて検討を続ける予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

朝鮮資料を対象にした口語データベースおよび索引の作成はおおむね計画どおり進んでいる。現在、中・近世日本語と朝鮮語の表記・音韻を分析しており、今後、両国語の変遷に関する論文を発表する予定である。

今後の研究の推進方策

平成29年度の研究成果を踏まえ、既作成のデーダベースを基に、朝鮮資料の異本間における比較・対照研究を行う。具体的には文法・語彙・文体など全般的な問題まで進み、日本語史において中世と近世の口語に関する記述も試みる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 口語に現れる「ilil-i/いちいち」と「hana-hana/ひとつひとつ」の意味韻律に関する考察2017

    • 著者名/発表者名
      朴 真完
    • 雑誌名

      『韓国語学』

      巻: 74 ページ: 161-189

    • 査読あり
  • [学会発表] 東京外大所藏本『交隣須知』(1881)に関する言語的考察―終結語尾の校訂様相を中心に2017

    • 著者名/発表者名
      朴 真完
    • 学会等名
      第9回訳学書学会2017年国際学術大会
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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