研究課題
基盤研究(C)
本研究は,『外来語の表記』(1991年,内閣告示・内閣訓令)で複数の表記が許容されている外来音等を取り上げ,『現代日本語書き言葉均衡コーパス』を資料として表記のゆれの実態調査を行うとともに,『現代日本語話し言葉コーパス』を資料として外来語の発音のゆれを調査し,その結果を表記のゆれに関する調査結果と突き合わせることで,表記のゆれと撥音のゆれとの関係を明らかにしようとするものである。調査の結果,外来語語末長音については,表記と発音との間にずれのあることが明らかとなった。
日本語学
大規模な書き言葉コーパス,話し言葉コーパスを活用して表記と発音のゆれの実態を解明する研究はこれまで行われていない。本研究は,外来語表記のゆれと発音のゆれとについて,最新のデータを提供するとともに,表記のゆれと発音のゆれとの関係に関するデータも提供するものである。このような本研究の成果は,表記辞典の編纂や新聞・放送をはじめとする様々な分野における外来語表記の基準作成にとって重要な基礎データとなる。このことから,本研究は学術の社会的貢献として高い意義を有するといえる。