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2018 年度 実施状況報告書

上代日本語の語彙体系と意義記述方法の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 17K02796
研究機関関西大学

研究代表者

乾 善彦  関西大学, 文学部, 教授 (30193569)

研究分担者 蜂矢 真郷  大阪大学, 文学研究科, 名誉教授 (20156350)
尾山 慎  奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (20535116)
佐野 宏  京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (50352224)
内田 賢徳  京都大学, 人間・環境学研究科, 名誉教授 (90122142)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード古代語の意味記述 / 時代別国語大辞典 上代編 / 上代語概説 / 万葉仮名
研究実績の概要

今年度は、時代別国語大辞典上代編の語彙項目の見直しを精力的に行い、若干遅れている担当者があるものの、ほぼ予定通りの進捗である。研究会を毎月開催して、語彙研究の方法についての議論を積み重ねている。その研究余滴を「上代語のしるべ」として3項目アップした。本研究の目的である上代語の語彙体系の記述方法の見直しは、まだ、具体的な形としては示していないが、最終年度に向けて、着実にその形を整えつつある。
仮名項目の見直しについては、研究報告の形で乾・内田編『万葉仮名と平仮名―その連続・不連続』を上梓して、具体的な成果を示しえた。ここには、研究分担者佐野の「仮名の成立について」の論考をはじめ、7編の論文を収め、研究代表者乾と分担者内田が全体の総括を行い、現在までの研と究の位置づけを行っている。乾はこれとは別に平安時代の真仮名と上代の仮名とのつながりの解明を行い、仮名一覧の正確性を期している。木簡の仮名については、尾山慎が精力的にその整理を行っている。これによって、上代の漢字による「仮名」の方法の全体像を見出すことができ、表記原理を解明することで、上代語研究すべてについて、その表記基盤、つまり資料的な問題を解決できると考えている。
語彙項目では、未公開であるが、蜂矢真郷が逆引き語彙索引を完成させている。これによって、上代語の語構成からみた語彙研究が進展するものと考えられ、今年度の最大の成果ともいえる。語彙体系の解明に一歩前進を見た成果である。
残された課題としては、上代語概説の検討と資料解説の検討があるが、前者については、内田が、後者については乾が、それぞれ計画通りに準備を進めており、万葉集の資料的な課題については、乾が本年度に成果を発表している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

時代別国語大辞典上代編の語彙項目の検討について、一部、各自の分担に遅れが出ているものがある。そこにアルバイトを重点的に投入して資料整理にあたっているので、最終年度には間に合うめどが立っている。仮名の部分は今年度、予定を上回る大きな前進を見た。また、逆引き索引の完成も大きな進捗の一つである。したがって、全体としみれば、順調に進んでいるといっても差し支えないのだが、語彙項目の検討は、本研究のメインの研究であるので、このように評価した。

今後の研究の推進方策

最終年度は、本研究課題の達成の為、研究会の実施回数を増やすことを考えている。また、夏休みには、集中的に語彙項目のとりまとめを行う予定である。遅れている語彙項目の担当については、現在、アルバイトを投入して、資料整理を急いでおり、以後順調に進むものと考えている。

次年度使用額が生じた理由

京都大学での分担者の方へ、資料整理のアルバイトを計上していたが、分担者の学内事情によって、研究に遅れが生じたためアルバイト費用を使いきれなかったことによる余剰金が生じた。最終年度は、分担者分のアルバイト費用を、研究代表の本務校である関西大学に研究内容と共に引き取って、研究代表が中心となって、今年度分の遅れを解消し、予定通りの研究成果を期することにしている。そのために余剰分を最終年度のアルバイト費用として計上し、4月から、資料整理をすでに始めてもらっている。幸い優秀なアルバイトを確保できたので、2019年度の最終年度には、計画通りの成果をあげる見通しを持っている。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ヌク[脱]・ノク[除・退]2019

    • 著者名/発表者名
      蜂矢 真郷
    • 雑誌名

      国語語彙史の研究

      巻: 38 ページ: 109-120

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 仮名の成立について2019

    • 著者名/発表者名
      佐野 宏
    • 雑誌名

      乾・内田編『万葉仮名と平仮名ーその連続・不連続ー』

      巻: 単行 ページ: 175-203

  • [雑誌論文] 万葉集巻十六と漢語2018

    • 著者名/発表者名
      乾 善彦
    • 雑誌名

      萬葉語文研究

      巻: 特別集 ページ: 1-13

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「万葉仮名」と『秋萩帖』2018

    • 著者名/発表者名
      乾 善彦
    • 雑誌名

      今野真二編『秋萩帖の総合的研究』(

      巻: 単行 ページ: 63-80

  • [雑誌論文] 『日本書紀』と「仮名」2018

    • 著者名/発表者名
      乾 善彦
    • 雑誌名

      大美和

      巻: 136 ページ: 17-22

  • [雑誌論文] 上代日本語の指示構造素描2018

    • 著者名/発表者名
      内田 賢徳
    • 雑誌名

      萬葉語文研究

      巻: 特別集 ページ: 123-132

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ツル[釣・吊]とナム[並]2018

    • 著者名/発表者名
      蜂矢 真郷
    • 雑誌名

      萬葉語文研究

      巻: 特別集 ページ: 105-122

    • 査読あり
  • [雑誌論文] シニフィアンとシニフィエの関係から考える古代の〈訓字〉と〈仮名〉2018

    • 著者名/発表者名
      尾山 慎
    • 雑誌名

      萬葉語文研究

      巻: 特別集 ページ: 57-82

    • 査読あり
  • [学会発表] 万葉集と「仮名」2018

    • 著者名/発表者名
      乾 善彦
    • 学会等名
      美夫君志会
    • 招待講演
  • [学会発表] 上代を中心とするシク活用形容詞の語基と語幹2018

    • 著者名/発表者名
      蜂矢 真人
    • 学会等名
      国語語彙史研究会
  • [図書] 『万葉仮名と平仮名ーその連続・不連続ー』2019

    • 著者名/発表者名
      乾善彦・内田賢徳 編
    • 総ページ数
      240
    • 出版者
      三省堂
    • ISBN
      978-4-385-36167-3

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公開日: 2019-12-27  

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