研究課題/領域番号 |
17K02800
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
柏野 和佳子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, 准教授 (50311147)
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研究分担者 |
丸山 直子 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (00199936)
佐渡島 紗織 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (20350423)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 文体 / 書き言葉 / 話し言葉 / コーパス / 位相 / 学術的文章 / 文章作成 / 日本語教育 |
研究実績の概要 |
(1)「書き言葉的」と「話し言葉的」として示される語・表現をすでに約1,900語収集していたが,追加の文献調査を行った。現在,約2,500語。これについて,品詞の付与を行っている。語ではなく表現とすべきエントリーもある。それらは「品詞+品詞+品詞」や「連語(品詞&品詞&品詞)」といった形で記述している。また、特に長いものについては細かな分解を避けて、単に「名詞句」「動詞句」などとしている。テキストに書かれている品詞名と、実際の品詞名が異なる場合もあるが,誤りというよりは品詞判定のゆれの問題が出てくる。たとえば,「非常に」「絶対に」「同様に」などを副詞ととらえるか,ナ形容詞連用形ととらえるか,「更に」は接続詞ととらえるか,副詞ととらえるか,等々。 (2) 2019年3月6日に研究打合せを行い,「白書・国会会議録を用いた話し言葉的な語と書き言葉的な語の抽出」「ベトナム人日本語学習者の卒業論文・修士論文の文末表現」「高校教科書で調査した文体差のある語の問題点」「大学生のアカデミックライティングにおける「話し言葉かもしれないと思う語」のアンケート」「日本語教育教科書で扱われている接続表現の調査分析」等について,議論した。文末表現に関し,特に,論文の指南書には「思う」の代わりに「思われる」や「考える」を使うとよいとするものがあるが,論文は自分の考えを書くものであるため,「思われる」「考える」も不要であるという点について確認,議論した。 (3) 2019年3月22日に,早稲田大学にて開催された,第7回 早稲田大学 ライティング・フォーラムにて,「学術的文章作成時に留意すべき『話し言葉的な語』とは」(柏野和佳子)の講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度も,『現代日本語書き言葉均衡コーパス』のレジスタ別の頻度調査と分析,ベトナムの日本語学習者の論文や,学習者作文コーパス「なたね」による,頻度調査と分析等は予定通り進めることができている。しかしながら,文献調査を追加で行うこととしたため,『現代日本語書き言葉均衡コーパス』の発話アノテーション結果等との頻度調査が先延ばしになった。最終年度に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
(1)文献調査結果を利用しやすいのものにするよう,調査語の品詞情報の付与を仕上げる。 (2)モニター公開のされた『日常会話コーパス』を利用し,頻度調査結果をデータベースに取り込み,データベースを完成させる。 (3)調査・分析の過程で明らかになった文体差のある語の問題について学会発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議の発表の予算を計上していたが,実施しなかった。最終年度にベトナムにてワークショップを開催し,成果の公開と普及を広く行う予定でいる。
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