研究課題/領域番号 |
17K02801
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
井上 文子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変異研究領域, 准教授 (90263186)
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研究分担者 |
小西 いずみ 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (60315736)
日高 水穂 関西大学, 文学部, 教授 (80292358)
松田 美香 別府大学, 文学部, 教授 (00300492)
三井 はるみ 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 助教 (50219672)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 方言データベース / 方言教材 / ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究では、共通のフォーマットに基づいて、複数の研究者が方言調査を実施し、その調査結果を言語データとして継続的に蓄積しつつ、研究・教育に活用することのできる「参加型方言データベース」を構築することを目的のひとつとしている。 「参加型方言データベース」は、収録調査と質問調査、ふたつのカテゴリーのデータで構成する計画である。今年度は、収録調査のデータとして、首都圏・関西・関東・東北の7大学で、大学生を対象としたペア入れ替え式ロールプレイ会話の収録を実施した。同性の親しい友人同士2名がペアとなり、電話で会話をおこなうという手法である。「遅刻の連絡をする」「遅刻に文句を言う」場面を設定し、ペアのそれぞれに、相手に伝える内容を指示し、場面ごとに電話のかけ手と電話の受け手の役割を交代して、収録した。 収集した資料のうち、同一地域出身のペア(首都圏女性5ペア・首都圏男性5ペア・関西女性8ペア・関西男性4ペア)の音声データ・文字化データは、個人情報について処理をしたうえで、ホームページ「方言ロールプレイ会話データベース」(http://hougen-db.sakuraweb.com/)の「大学調査」として、研究・教育に利用できるようにインターネットで公開した。統一的な手法で得られたこのような方言データを継続的に蓄積していくことによって、「地域的多様性の教材としての方言教材」を提案したいと考える。そのひとつの実践として、研究組織メンバーは、ロールプレイ会話データを談話展開・会話分析の教材として有効活用し、教育活動に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロールプレイ会話の収録調査、会話データの整備と蓄積、ホームページによる公開などが滞りなく進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
「参加型方言データベース」のコンテンツとなるデータ収集を継続する。「ロールプレイ会話データベース」に加えて、「文単位での方言音声データベース」を検討中である。文法カテゴリごとに用意した共通語例文を各地方言に翻訳したテキストと音声であり、主に大学の授業向けの教材としての活用を想定している。 質問調査による結果、収録調査による資料を整備してデータベース化し、「参加型方言データベース」を構築する。「参加型方言データベース」は、共通のフォーマットに基づいて、複数の研究者が調査・収集した結果・資料を、言語データとして継続的に蓄積しつつ、研究・教育に活用することのできるデータベースである。 「参加型方言データベース」のデータに基づき、各調査地域の言語表現・言語行動・言語意識・談話の特徴・言語使用状況などを明らかにするとともに、地域間の対照方言学的分析をおこなう。 「参加型方言データベース」を活用することにより、地域的多様性の教材のモデルを提案する。教材は、全国の方言を概観するような全国版だけではなく、それぞれの地域の身近な項目を取り入れ、他地域との違いを実感することができるような、地域密着型の地域版の教材に力を入れる。教材化のポイントとしては、出現数が多く、バリエーションがあり、対象者が興味を持ちやすい項目がポイントとなる。最終的には、項目を取捨選択して完成版を作成する。 方言教材・マニュアルをwebでオープンアクセスとして公開する。教材と教材を教育に活用した事例を紹介するための報告会を開き、教材とマニュアルの活用を推進するための講習会を開催する。報告会・講習会を通じて、方言データを共同で収集・分析し、その教材化を目指す、研究者・教育関係者のネットワークを形成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に発注したパソコンが急に品切れとなり納品されなかったため繰越金が発生したが、平成30年度に繰越金をパソコン購入のために使用する。
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