Chomsky (2013, 2015) が提案するミニマリスト・プログラム(MP)の枠組みにおいて、言語学的に例外的あるいは周辺的と分析されることが多い右方移動構文に焦点をあて、仮説「連結詞beは助動詞beと動詞beに語彙的に区別される。」を仮定するフェイズ理論に基づく分析を提案し、その妥当性を検証した。本研究により、未解決な問題が多いと分析されることのある右方移動現象のなかで、特に、経済性原理及びbeの語彙的特性の観点から、複数の助動詞が生じる右方移動構文の内部構造と派生メカニズムを明らかにするとともに、フェイズをvPとCPとするフェイズ理論の構築に寄与することができる。
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