研究課題/領域番号 |
17K02803
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
島 越郎 東北大学, 文学研究科, 教授 (50302063)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コントロール / PRO / フェイズ / 非定形節 / 変項 / 転送領域 |
研究実績の概要 |
本研究では、非定形節(non-finite clause)の発音されない主語PROとその先行詞との関係であるコントロール現象について考察した。具体的には、PROの意味解釈を決定する条件として、「PROは、意味解釈部門であるLFに転送(transfer)される段階で同一の転送領域内にPROを束縛する要素が存在する場合、その変項(variable)として解釈される。他方、同一の転送領域内にPROを束縛する要素が存在しない場合、PROは自由変項(free variable)として解釈される。」という解釈条件を新たに提案した。また、統語構造の構築や統語構造を意味解釈部門に転送する際のサイクルとして機能するフェイズに関して、動詞句のvPと定形節のCPのみがフェーズを形成し、非定形節のCPはフェイズを形成しないと仮定した。これらのPROの解釈条件とフェイズに関する仮定に基づき、非定形節が動詞の目的語として生起する場合、付加詞として生起する場合、主語として生起する場合の3つのケースについて見られる様々なコントロール現象(具体的には、(i)PROと先行詞が同一節内に生起する必要があるかどうか、(ii)先行詞はPROをC統御(c-command)する必要があるかどうか、(iii)先行詞が焦点化されると、PROの解釈は多義的になるかどうか、(iv)PROは事象様相(de re)と自己知的様相(de se)の解釈を持つかどうか、(v)表面上現れない潜在項(implicit arguments)がPROの先行詞になれるかどうか、等々)に対して統一的説明を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、動詞の目的語に生起する非定形節のPROの解釈に限定して研究を進める予定であったが、動詞の目的語として生起する場合以外に、付加詞や主語として生起する場合も合わせて比較検討した方が良いと判断し、軌道修正を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、非定形節が動詞の目的語として生起する場合のケースに絞り、PROと先行詞に見られる様々な現象を集中的に行っていく予定である。
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