研究課題/領域番号 |
17K02807
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
守屋 哲治 金沢大学, 学校教育系, 教授 (40220090)
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研究分担者 |
堀江 薫 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (70181526)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 名詞修飾節 / 言語類型論 / 対照言語学 |
研究実績の概要 |
研究代表者は、日本語、中国語、韓国語母語話者の英語名詞修飾節に関わる使用例、誤用例の収集を行い、タイプ別の頻度、誤用の割合などの調査を行った。その中でやはり日本語母語話者が名詞修飾節を多様し、かつ誤用の割合が高いことが観察された。また、理論的研究として、否定辞繰り上げ現象を複文構造から短文構造への文法化の過程と位置づけることにより、否定辞繰り上げを許す述語の規定が通言語的に可能になる方向性を示した。 研究分担者は、日本語研究および通言語的研究における名詞修飾節に関する過去から現在までの研究史を整理したうえで、日本語・中国語・韓国語がアジアの言語として名詞修飾節に関する共通性を有するにもかかわらず、主節と名詞修飾節との間の垣根がより低い日本語において、語用論的推論を用いて解釈を行う名詞修飾節の生産性が高いことを示した。 また、研究代表者と研究分担者の間で数回研究打ち合わせを行い、研究代表者の行っているデータ観察と、研究分担者の行っている理論的研究および事実観察のデータを共有することによって、今後の方向性について議論を行った。英語学習者の誤用の傾向の違いが、理論的な研究で明らかになった類型論的違いとどのように関連しているのかという部分に関する考察を今後さらに深めて行く必要があること、ならびに学習者データおよび理論的考察の対象言語をやや広げて行く必要についても意見交換し、近接言語に関する観察も取り入れて行くこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習者のデータ観察を一定程度進めることができ、研究史の整理と現在の研究動向との関連も明らかになってきた。今後の実証的な考察を進める基盤を作ることができたから。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者が行っている、英語学習者の英語名詞修飾節の使用・誤用実態の調査をさらに進めて行き、研究分担者が行っている英語、日本語、中国語、韓国語の名詞修飾節に関する理論的な特徴付けとの関連性を、第2言語習得理論なども参照しながら行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
基礎となるデータおよび理論的基盤の分析・精査に計画時よりも時間を割いた結果、外部での発表の機会を持つことが予定よりも少なくなったため。
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