現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)進行形との関連において輪郭も明確とは言えないまま認識される様になったstative概念を、認知言語学的に再検討することにより、今日学界・英語教育界で殆ど誰も疑うことのない「進行形とstativeを表す動詞は相容れないという制限規則」を切り崩す為の素地と論拠が、少なくとも3つの学会発表の場におけるオーディエンスにとって説得力のあるものとして受け入れられたことは、本研究にとって一つの成果であった。英語だけでなくドイツ語やスカンジナビア諸語などゲルマン諸語を母国語とする人々の興味関心が高いこともこれまでの研究を裏付けるものであった。 2)Lindley Murrayの初版から40版迄毎回続く改訂における加筆修正を、これまでよりシステマチックに解析調査し、進行形を巡るstative概念記述の矛盾を発見した。 3)進行形と相容れない事態を総称するものとして用いられてきたstativeという用語の確立は比較的新しいことがわかかった。それ故、今期は近現代英文法における単純現在形用法観察記述に見られる、Activity, Imperfective, Atelic, Continuous, Durational, Unbounded, Habitual, Gnomic, Generic, Structuralなどの関連諸概念とstative概念との関係整理、また古英語の拡充形や中英語期の進行形とされる構文の使われる文脈から考えられる意味の調査も進めることができた。
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