昨年大英図書館で収集した資料であるThe General Evening Post(1772年1月から3月)の136ページ分とThe Gentleman’s Magazine (1731-1833)の中にget + oneself+不変化詞の形式があるかをNvivoを利用して調査し、次に大英図書館・スコットランド国立図書館で収集した書籍65冊(1377-1913)での生起状況を調査した。その結果該当する文は8例しかなかった(名詞、形容詞、前置詞、過去分詞が生じていたが、不変化詞が生じる例は発見できなかった)。動詞getの例が少ないことから、動詞全体に広げ、V + oneself + down構文に関して通時的観点から「主語の再帰代名詞への働きかけの希薄化」と構文拡張について考察を加え、日本認知言語学会第20回大会で発表した(パネル発表)。「主語の再帰代名詞への働きかけの希薄化」による拡張は中村(2004)が主張した5つの認知構造の拡張での説明より、さらに細かな拡張に細分化されると考え、V + oneself + up構文を収集した資料およびCorpus of Historical American Englishの通時的データを用いて認知構造の拡張を再検討し、artes liberals 30号で発表した。この考え方に基づきV + oneself + down構文を再検討して拡張には主語名詞の働きかけ(意識)の減少度合いと再帰代名詞が示す部分の移動の有無、物理的変化と心的変化が関連し、拡張が細分化されるという結論に達し、Kanazawa English Studies31号で発表した。全体を捉えた後、動詞getと再帰代名詞の構文を再検討し、不変化詞upが生じる構文での認知構造の拡張について考察を加えたものを日本工業大学研究報告49巻第4号で発表した。
|