研究課題/領域番号 |
17K02826
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
都築 雅子 中京大学, 国際教養学部, 教授 (00227448)
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研究分担者 |
奉 鉉京 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (50434593)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 文副詞類 / 連結副詞類 / コーパス / 言語習得 / 英語学習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、談話に関わる用法など、多種多様な用法を有するactually, really, in fact, indeed, apparently, no doubtなど、文副詞類・連結副詞類に関する理論研究と習得研究を連携して行うことにより、日本人英語学習者のこれら副詞類の習得実態の状況と問題点を明らかにし、それをもとに、円滑なコミュニケーションに不可欠なこれら副詞類の効率的な教育・学習方法の模索・提案をしていくことであり、さらには習得実験の結果から理論的考察を再検証し、理論研究の精緻化をはかることである。
初年度は、actually, reallyの二つの副詞類について、第一言語習得(この場合、英語母語話者による母語習得)がどのように行われているかについて、母語コーパスCHILDESからデータを収集し、考察した。その結果、(1)reallyの方がactuallyより習得が早いこと、(2) actally, really共に早い時期から様々な用法を習得していることがわかった。一方、英語母語話者のスポークンコーパス(COCA)から収集したデータからは、(1)reallyの方がactuallyより約3倍生起数が多いこと、(2)両副詞類とも様々な用法が用いられていることがわかった。二つのコーパスデータの考察により、これらの副詞類の第一言語習得には、入力の量・質が大きく関与していることが示唆される。以上の考察をまとめ、論文にしたものを、『2017 ETAK Conference Proceedings: English Education: Today and Tomorrow』に掲載した。
本年度は、先の考察に基に、(1) actually, reallyに関する日本人英語学習者の習得状況について、学習者コーパスデータによる考察、(2) それ以外の副詞類について理論的考察・コーパス調査、を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度はactually, reallyに関して、CHILDES母語コーパスからデータを収集し、第一言語習得の状況について考察したが、日本人英語学習者の習得状況についてのデータの収集・考察には至らなかった。 本年度は、研究計画に基づき、(1) actually, reallyに関する日本人英語学習者の習得状況についての学習者コーパスを用いての考察、(2) それ以外の副詞類について理論的考察・コーパス調査、を進めていく予定である。 まず、学習者コーパスThe NICT Japanese Learner English Cprpus からデータを収集し、actually, reallyについて日本人英語学習者の習得状況について考察する。現在、分析の途中ではあるが、(1)actually, reallyともに日本人英語学習者は、それぞれ多様な用法があるにも関わらず、代表的な用法一つを集中的に用いること、(2)それぞれの代表的な用法はコミュニケーションを円滑にする談話的な用法であることなどが、暫定的な考察として出てきている。これらの結果をまとめ、11th INTERNATIONAL CONFERENCE OF ENGLISH AS A LINGUA FRANCA ( King's College London, 2018, 7/4-7)で、発表する予定である。 またactually, really以外の文副詞類・連結副詞類について理論的考察を進めると共に、英語母語話者コーパスからデータを収集し、それらの用法の特定・分類を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、計画に沿って、以下の2つの方向で進めていく予定である。 (1) 会話表現として多用されるactually, reallyに関して、日本人英語学習者コーパスのデータを分析し、習得状況について考察する。actually, really以外の文副詞類・連結副詞類について、英語母語話者コーパスと日本人英語学習者コーパス(スポークンコーパス)の双方から、データを収集し、「どのような副詞類のどのような用法が使用されているか、あるいは使用されていないか」について、理論的考察も補強しながら、分析する。それをもとに、円滑なコミュニケーションなために必要だが、日本人学習者にとり習得がむずかしいと予測される副詞類について、仮説をたてながら習得実験を策定し、実施する。その結果を英語教育・英語学習へいかすべく、方法を模索・提案していきたい。 (2) 簡潔で明快なwritingを書く際の鍵となる連結副詞類・文副詞類について、英語母語話者コーパス(written corpus)から実例を採集する一方、理論的考察も行う。また日本人学習者コーパスからも実例を採集し、考察する。これらの考察をもとに、明快なパラグラフを書くのに必要であるが、日本人英語学習者にとり習得が難しいと予測される副詞類について、仮説をたてながら習得実験を策定し、実施する。その結果を英語教育・英語学習へいかすべく、方法を模索・提案していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は代表者の都築が大学雑務、学会運営委員の仕事および介護などが重なり、actually, reallyなどの副詞類の日本人英語学習者による習得状況の考察をまとめることができず、海外の学会で発表することができなかった。本年度、考察をまとめ、ロンドンで行われるELFの学会で発表予定であり、旅費を使用する予定である。
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