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2020 年度 実施状況報告書

動詞句省略の生起メカニズムと認可条件を探る:日・英語比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02827
研究機関京都産業大学

研究代表者

高橋 眞理  京都産業大学, 外国語学部, 教授 (20247779)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード動詞句省略 / 先行詞条件 / 「そう」による動詞句の代用 / 自由動詞 / 日本語 / 英語
研究実績の概要

1 英語の動詞句省略(VPE)および関連現象に関する最近の注目すべき理論の比較・検討を行った。
2 英語VPEの先行詞条件諸提案の鍵となった構文に対応する日本語構文のうち、以下のA~F計6種類(各2文)の適格性の判断を5(適格)から1(不適格)までの5段階評価で問う調査を行った。
A-B:自由動詞を主要部とする動詞句(VP)にVPEが適用され、その先行詞を含む目的語が主語より前に「かき混ぜ」によって移動されている文(A:肯定文, B:否定文)、C-D:A-Bと同じだが、「かき混ぜ」が起こっていない文(C:肯定文, D:否定文)、E-F:A-Bと同じだが、VPがそうで代用されている文(E:肯定文, F:否定文)。
日本語母語話者計40人分の有効データ(各構文に対する判定平均値[SD]=A: 2.51[1.24], B: 3.20[1.26], C:1.81[1.21], D: 2.64[1.40], E: 2.21[1.17], F: 2.24[1.12])の分析結果のうち、下記(1)は予測と一致する方向の差異、(2)と(3)は予測に反するものであった。
(1)CよりAの、またDよりBの容認度が有意に高かった。(2)適格であるはずのAの容認度が5段階評価の中間値3より低かった。(3)AよりBの、またCよりDの容認度が有意に高かったが、EとFには容認度の差はなかった。
(3)は、否定文の目的語が「焦点を持つ」と解釈された(C:「M紙が報道したすべての事件をA紙もした」とD:「A紙はM紙が報道したどの事件もしなかった」において、後者の目的語のみが焦点を持ち、VPE適用領域の外にあると解釈された)ことが原因である可能性があり、そうであれば、VPEの適用範囲決定の原理を探る手掛かりとなりうる。VPがそうで代用されているEとFがなぜこの差の影響を受けないのかも含めて、今後の検討課題とする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

コロナ禍のため、コンピューター実験室に被検者を集めて行う実験を実施することができなかった。また、オンライン授業の準備と実施のために多くの時間を要し、計画していたものに変わる実験方法を探すこともできなかった。
実施することができた小規模の調査は各調査項目の試行数も少なく、検定力が十分であったとは言えないが、結果の分析から、動詞句省略の適用条件とそれが諸構文に与える影響について新しい示唆を得ることができた。

今後の研究の推進方策

1 引き続き、英語の動詞句省略(VPE)と関連構文の新しい研究成果の整理、および諸理論の比較・分析を行う。
2 引き続き、英語VPEの生起メカニズムと認可条件諸提案の鍵となった構文に対応する日本語構文の整理とそれらの諸特性、意味解釈の可能性、および先行詞条件に関する分析を行う。
3 これまでの実験結果で予想外であった部分の原因分析を行う。また、これまでに調査することができなかったVPE関連構文に関する新しい実験をデザインし、可能であれば実施する。

次年度使用額が生じた理由

コンピューター実験室に被検者を集めて行う実験を実施することができなかった。
実験が可能なら、その準備と実施のための人件費・謝金と、これまでに購入することができなかった機器類の購入に充てたい。

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公開日: 2021-12-27  

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