研究課題/領域番号 |
17K02828
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
菅原 真理子 同志社大学, 文学部, 教授 (10411050)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 英語の語強勢位置判断 / 無強勢完全母音のプロミネンス |
研究実績の概要 |
2020年度は前年度までに収集した音声データおよびアンケート結果に基づいて、下記の通り2点論文を発表した。
[1] Sugahara, Mariko. (2020). “Lexical Stress Assignment to Base, Inflected and Derived Words in English by Japanese and Seoul Korean Learners of English.” In Nobuaki Minematsu (ed.) Proceedings of the 10th International Conference on Speech Prosody 2020. pp. 905-909, DOI: 10.21437/SpeechProsody.2020-185. [2] Sugahara, Mariko. (2021). “The Prominence Degree of Word-Initial Pretonic Syllables with Full Vowels in English: An Introspective Rating Study.” 『言語研究の楽しさと楽しみ:伊藤たかね先生退職記念論文集』岡部玲子、その他(編)、開拓社
上記の[1]では「英語の語強勢の位置判断を強勢の英語学習者たちがする際、母語の音韻体系で無標な語強勢/語アクセントのパターンに偏向した判断を下すのか」という問いに答えるものであり、母語の無標な語アクセントパターンに偏向するという結果となった。[2]は「第1強勢音節の直前の音節内の完全母音は、強勢ありと見なすべきなのか、なしと見なすべきなのか」という問いに関してであり、英語母語話者に実施したアンケート調査(内省判断)結果に基づき、有強勢と無強勢の中間として認識されていると論じた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、前年度までに収集した音声データおよびアンケート結果に基づいて、論文を執筆できたので、「おおむね順調に進展している」と回答した。しかし2020年度は、COVID-19感染拡大により、英語母語話者として音声録音実験に参加してもらうアメリカ人留学生や韓国人留学生を集めること、および狭い録音室で窓を閉め切った状態で話者に発話してもらうことが不可能となり、新たな音声データの収集が出来なかった。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は、2019年度までに収集した音声データやアンケート結果に基づいて、以下の2点を分析し、論文としてまとめていく。 1.日本語母語話者と韓国語母語話者の英語の語強勢の発話特性の違い 2.英語母語話者の「無強勢完全母音」の発話の音響特性 <1に関して>上記の論文[1]で、日本語母語話者と韓国語ソウル方言母語話者は、紙面に書かれた英単語の語強勢位置を判断タスクにおいて、異なるパターンを示すことが分かっている。彼らは英単語の発話においても、音響的に異なるパターンを示すのかを解明していく。 <2に関して>上記の論文[2]で、英語母語話者に対しての内省判断調査から、彼らは第1強勢音節の直前の音節内の完全母音は強勢と無強勢の中間として認識しているという結果が得られている。果たして彼らの発話における音響特性でも、同じく中間的な特性を示すのか。さらに彼らの内省判断と実際の発話における音響特性とに、どのような相関関係があるのか。これらの疑問点を解明していく。 新たに発話音声の録音をすることは、現時点でのCOVID-19の状況を踏まえると、不可能である。よって、すでに収集したデータに基づいて研究を進めていくしか方策はない。もしも新たにデータ収集をするのであれば、既にデータベースとして公開されている様々な英語の録音データを分析するなどの手法をとることになる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コンピュータを新たに購入しようと考えていたが、コンピュータを購入するに足るだけの費用が残らなかったため、次年度にその分を回して、コンピュータを次年度の予算と合算して購入することにした。さらに研究補助員への謝金、書籍およびデータベース購入などに出費する予定。
|