研究課題/領域番号 |
17K02835
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山田 智久 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (90549148)
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研究分担者 |
横溝 紳一郎 西南女学院大学, 人文学部, 教授 (60220563)
沢谷 佑輔 旭川工業高等専門学校, 一般人文科, 准教授 (10733438)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ICTリテラシー / Can-Do-Statements / 教師研修 |
研究実績の概要 |
本研究は日本語教師を対象としたICTリテラシーの向上を目指す基礎研究である。したがって、現職の日本語教師がICT活用に関してどのような問題を抱えているかについての調査を行うことがもっとも重要となる。そこで事業初年度であるH29年度は日本語教師が授業前、授業中、授業後にどのような業務を行っているかについて詳細なデータ収集を行った。収集したデータは、日本語教師の業務に関する文字データと授業録画データの2種類である。 今年度は、文字データをもとにして、ICTを活用した授業案を提案し、実際にワークショップ形式で試行を行い、日本語教師にとってどのようなICTリテラシーが必要かを検討した。その結果、現職の日本語教師にとって習得可能で導入可能なものとそうではない項目があることが明らかになった。導入が容易なものは、個人のパソコンやタブレット型端末を用いて、教室内で完結するものである。その一方、導入が難しいものの特徴は、教室の中で完結しないものであり、同僚や機関での調整が必要なものであることが本年度の調査から浮き彫りになってきた。この調査結果をもとに、今年度は、日本語教師にとって必要なICTリテラシーを選定及び難易度別に整理することを狙いとして、ワークショップを開催し、参加者からのフィードバックを収集した。H29年、30年の調査結果の研究成果として『日本語教師のためのアクション・リサーチ』として2019年5月にくろしお出版から刊行が決まっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、日本語教師のICTリテラシー向上に寄与することを目標とした研究である。したがって現状の日本語教師がどのような状況に置かれているかを正確に把握する必要性がある。そのため、H29年度は、A日本語学校に協力してもらい、業務項目一覧の作成と授業録画を実施した。このデータをもとに、H30年度は、日本語教師にとって習得しやすいICTリテラシーと習得しにくいものを精査し、実際にワークショップ形式で教師研修を行い、現職日本語教師からのフィードバックを収集した。加えて、ロンドン大学での聞き取り調査を実施し、欧州でのICTリテラシー教育についての知見を収集した。これらの調査結果は、書籍やシンポジウムで社会へと還元され、最終年度に完成予定の「日本語教師のためのICTリテラシーCan-Do-Statements」開発に生かされる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度であるH31年度には「日本語教師のためのICTリテラシーCan-Do-Statements」の開発に時間を費やす。盛り込まれる項目は、H29、30年度に収集したデータ及びロンドン大学への聞き取り調査、国際交流基金からの助言をもとに精査する予定である。並行して、Can-Do-Statementsに盛り込む項目の難易度をどのように設定するかを今年度は検討し、Can-Do-Statementsをもとにしたオフライン研修を実施し、項目の確認、難易度に基づいた提示順を検討する。最終的には、日本語教師がICTリテラシーを習得していく過程で、どのような支援が必要か、すなわち、どのような研修デザインが現在の日本語教師にとって望ましいかを提言する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者である横溝紳一郎氏の予定されていた出張が次年度に延期となったため。
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