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2020 年度 実施状況報告書

日本社会における外国人と日本人の異文化相互理解に関する質的実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02838
研究機関茨城大学

研究代表者

安 龍洙  茨城大学, 全学教育機構, 教授 (80361286)

研究分担者 内藤 哲雄  明治学院大学, 国際平和研究所, 研究員 (20172249)
石鍋 浩  東大阪大学短期大学部, その他部局等, 教授 (90424051)
松田 勇一  宇都宮共和大学, シティライフ学部, 教授 (50406279)
青木 香代子  茨城大学, 全学教育機構, 講師 (00793978)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワードアルバイト / 日本観 / 異文化観 / 専門領域学習観 / PAC分析 / 質的研究
研究実績の概要

研究4年目の2020年度は、留学生のアルバイトから見た日本観、COVID-19が韓国留学中の日本人学生に及ぼした影響、日本在住留学生の異文化適応の問題、介護専攻学生の専門領域学習観に関する留学生と日本人学生の比較、についてPAC分析を用いた研究論文5編を発表した。
①外国人留学生のアルバイトを通して捉えた日本社会については、以下の通りである。1)インドネシア人留学生は、日本人に対して「優しい」というイメージを持っている反面、日本人に見た目で判断され好奇の目で見られることへの嫌悪感を抱いていることがわかった。2)東南アジア出身留学生は、日本語に対する不安を感じ、働くという経験を通して厳しさや忙しさを知るようになったようである。3)韓国人留学生は、日本は客に対するサービスがいいこと、日本人は他人のプライベートなことには関わらないこと、日本人は法律をよく守ることを感じており、これは先行研究の結果と一致する。②日本在住留学生の異文化適応に関しては、個々の留学生が抱える異文化適応に関する問題に対し、先行研究の枠組みではカバーしきれない個別の問題を可視化できることが示され、個別の事例から、より細かいケアの必要性が示唆された。③韓国留学中の日本人学生のCOVID-19の影響では、韓国語を学ぶ環境の悪化と大学の対応への不安が共通してネガティブなイメージで挙げられた。④介護専攻学生の専門領域学習観に関する留学生と日本人学生では、留学生と日本人学生双方において「専門性」に加え「自分の成長」に関するクラスターが共通して認められた。留学生が日本人学生と異なったのは「日本語の問題」であり、それ以外に留学生特有の「介護学習観」は認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究4年目の2020年度は、研究論文5編を発表した。上述のように2020年度は、留学生のアルバイトを通じて感じた日本観、COVID-19が韓国留学中の日本人学生に及ぼした影響、日本在住留学生の異文化適応、介護専攻学生の専門領域学習観に関する留学生と日本人学生の比較、など多角的に異文化理解について検討した。①日本でアルバイトをしている留学生の共通点として日本語の重要性を上げたことが特徴的な点として現れた。インドネシア人は「時間厳守の重要性」をアルバイトを通して認識したようである。また東南アジア留学生は日本語に対する不安を感じていることがわかった。②COVID-19が韓国留学に与える影響について、日本人学生は「韓国語を学ぶ環境の悪化」がネガティブなイメージとして現れた。③日本在住留学生の異文化適応については先行研究の枠組みではカバーしきれない個別の問題が示されており、個別の事例による細かいケアの必要性が示唆された。④介護専攻学生の専門領域学習観については留学生と日本人学生双方において「専門性」に加え「自分の成長」に関することが共通して認められた。
以上、2020年度はアルバイト、異文化理解、COVID-19、介護専攻学生の専門領域学習観など幅広い観点から外国人及び日本人の異文化理解について検討することができたため、研究がおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

研究最終年の2021年度(当初計画より1年延長)は、これまで蓄積したデータの全体的なバランスを考慮し、不足するデータの補充研究を推進する。2021年度はCOVID-19の影響により、対面での調査が難しいと考えられるため、EメールやSNSなどによる調査を実施する予定である。
2021年度は、1)オンライン授業が異文化理解に与える影響、2)コロナ過での留学生活、3)片親が外国人の日本人大学の異文化観、等に焦点を当てて調査を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

2020年度は、COVID-19の影響により研究代表者及び研究分担者がオンライン調査でデータ収集を行ったため、当初計画していた旅費の支出がなかった。
2020年度の未使用額はCOVID-19の状況が改善すれば、対面による調査のための旅費及び、これまで蓄積したデータの文字起こしの費用に充てる予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件)

  • [雑誌論文] 介護専攻学生の専門領域学習観に関するPAC分析を用いた質的検討―留学生と日本人学生の比較―2021

    • 著者名/発表者名
      石鍋 浩, 安 龍洙
    • 雑誌名

      東大阪大学・東大阪短期大学部教育研究紀要

      巻: 18 ページ: 27,40

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 韓国人留学生はアルバイトを通して日本をどう理解しているか2021

    • 著者名/発表者名
      安龍洙
    • 雑誌名

      グローバル教育研究

      巻: 4 ページ: 27,38

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 東南アジア交換留学生のアルバイトを通じてみた日本2021

    • 著者名/発表者名
      青木 香代子, 安 龍洙
    • 雑誌名

      グローバル教育研究

      巻: 4 ページ: 15,26

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 日本在住留学生の異文化適応に関するPAC分析を用いた質的研究2021

    • 著者名/発表者名
      石鍋 浩, 安 龍洙
    • 雑誌名

      グローバル教育研究

      巻: 4 ページ: 47,60

    • 査読あり
  • [雑誌論文] インドネシア出身留学生は日本でのアルバイトを通して日本をどう捉えているか2021

    • 著者名/発表者名
      松田 勇一, 安 龍洙
    • 雑誌名

      グローバル教育研究

      巻: 4 ページ: 155,168

    • 査読あり
  • [雑誌論文] COVID-19が韓国留学中の日本人学生の留学生活に及ぼす影響の一考察2021

    • 著者名/発表者名
      高柳 有希, 安 龍洙
    • 雑誌名

      グローバル教育研究

      巻: 4 ページ: 107,118

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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