研究課題/領域番号 |
17K02838
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
安 龍洙 茨城大学, 全学教育機構, 教授 (80361286)
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研究分担者 |
内藤 哲雄 明治学院大学, 国際平和研究所, 研究員 (20172249)
石鍋 浩 東大阪大学短期大学部, その他部局等, 教授 (90424051)
松田 勇一 宇都宮共和大学, シティライフ学部, 教授 (50406279)
青木 香代子 茨城大学, 全学教育機構, 講師 (00793978)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | パンデミック / オンライン授業 / 日本観 / 異文化観 / PAC分析 |
研究実績の概要 |
研究5年目の2021年度は、オンラインによるPAC分析を実施し、1)介護学生である留学生と日本人学生による高齢者虐待に対する認識の比較、2)COVID-19感染拡大下における日本での留学生活、3)日・韓大学生のコロナ禍における大学生活の比較、について分析した。結果は以下の通りである。 1)留学生と日本人学生による高齢者虐待の比較の結果、文化背景を反映した認識の違いはクラスター構造から認められなかった。今後は、留学生特有の問題に焦点を当てた支援の議論だけではなく、留学生と日本人の共通点も考慮に入れた新たな支援策への応用可能性が示唆された。また、現場での経験が対象の高齢者虐待認識に影響を与えていることがクラスター構造から認められた。 2)コロナ禍における留学生の大学生活においては、①パンデミック収束への道筋が見えない中、行動制限下での留学生に対するサポート体制の構築は、数年単位で考えていくべき課題であること、②感染拡大下において、各自ができる範囲で対処しながら生活を送ろうとしていること、の2点が示された。本研究によって、パンデミック以前と以後での留学生の意識の変化が構造的に示され、オンライン授業移行への受容の過程の一端が明らかになった。 3)日・韓大学生はコロナ禍における大学生活の比較については、「人に会えないこと」に関する内容が被調査者全員に共通して挙げられ、マイナスのイメージとして捉えられていた。オンライン授業に関しては、日本人学生は「たくさんの資料提供」「学生1人1人の顔が見える」のようにポジティブに捉えているのに対して、韓国人学生は「集中できない」「質問しづらい」のようにネガティブに捉えていることがわかった。しかし、日韓の学生がともに「課題」の存在の大切さに触れ、「課題」を出すことは学生たちのモチベーション向上に効果があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究5年目の2021年度は、研究論文3編を発表した。上述のように2021年度は、留学生と日本人学生による高齢者虐待に対する認識の比較、COVID-19感染拡大下における留学生の大学生活、日本と韓国の大学生はコロナ禍における大学生活の比較について検討し、本研究のテーマである異文化理解について多角的に検討した。そのため、概ね順調に進んでいると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年の2022年度(当初計画より2年延長)は、これまで蓄積したデータのバランスを考慮し補充研究を推進する。2022年度はCOVID-19の影響により、対面での調査が難しいと考えられるため、EメールやSNSなどを用いて、短期語学研修や国際交流に対する大学生の態度構造とその変容に焦点を当てて調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、COVID-19の影響により研究代表者及び研究分担者がオンライン調査でデータ収集を行ったため、当初計画していた旅費の支出がなかった。 2022年度の未使用額はCOVID-19の状況が改善すれば、対面による調査のための旅費及び、これまで蓄積したデータの文字起こしの費用に充てる予定である。
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