研究課題/領域番号 |
17K02840
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
牧原 功 群馬大学, 国際センター, 准教授 (20332562)
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研究分担者 |
山岡 政紀 創価大学, 文学部, 教授 (80220234)
小野 正樹 筑波大学, 人文社会系, 教授 (10302340)
大和 啓子 群馬大学, 国際センター, 講師 (60640729)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ポライトネス / 第二言語習得 / 日本語教育 / 配慮表現 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、研究代表者、研究分担者、海外研究協力者が共同で、これまでの各自の研究成果の統合とグランドデザインの作成を行った。その後、日本語学習者の産出する文の中で、ポライトネスという観点から見て問題を含みうるものを収集し、ポライトネスに関わる成分とみなすことができ、また日本語学習者が十分にその運用を行っているとは考えにくいものを抽出した。 平成30年度は、29年度の実績をもとにし、主にその後期に、海外の研究協力者と共同で日本語学習者のデータを収集することを予定していた。しかしながら、ポライトネスに関わると認めた成分を生成するための、環境の設定(=課題の設定)が予想外に困難であることがわかり、海外でのデータ収集には部分的に着手したにとどまった。 しかしながら、平成30年度の研究の推進において、日本語母語話者がテンス・アスペクトを体系的に使い分け、主張の丁寧さをコントロールしていることが判明した。具体例で示せば、論文査読のような批判的な発言を多用する文章では「この点には問題があるように思います」というル形の使用を避け、「この点には問題があるように思いました」のようにタ形が多用される傾向が見られることであるや、聴者の想定と異なる事実を述べる際「娘は3年前に結婚しています」というテイル形よりも「娘は3年前に結婚しました」のようなタ形を選択するといったものである。これらの現象についての理論面での考察は平成31年度に口頭発表や論文の形で報告を行う予定であるが、現象の把握や、その考察という部分では、研究の進捗には大きな成果が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では、平成29年度にデータ収集を行う場面設定等を決定し、平成30年度に海外の研究協力者と共同で、海外の日本語学習者のデータを収集することとしていた。しかし、研究の進捗とともに、データを収集するための課題設定が予想以上に困難であることが明らかとなった。また、どのような表現がポライトネスに関わる表現であるかを考察することと、その表現の日本語学習者の運用状況を調査することを並行して進め、相互にフィードバックを図りつつ調査を進める必要があることが判明し、海外でのデータ収集が予定より遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
調査の実施は予定よりは遅れているものの、研究自体は確実に前に進みつつある。日本語の配慮表現の研究とデータ収集を並行して進めることで、研究の推進を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は平成30年度に海外でのデータ収集を進める予定であり、研究代表者、研究分担者の海外研究旅費が必要となることが予測された。しかし、データ収集を本格的に進めることができなかったため、次年度使用額が発生することとなった。
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