研究課題/領域番号 |
17K02841
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高 民定 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (30400807)
|
研究分担者 |
村岡 英裕 千葉大学, 国際教養学部, 教授 (30271034)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 外国人集住地域 / 実践的リテラシー / 社会参加 / 公営団地 |
研究実績の概要 |
3年目である本年度は、2年間の予備フィールド調査で明らかになった課題を検討し、集住地域の形成時期や環境が外国人住民の社会参加にどのように影響しているかをさらに追求した。まず、昨年度に続き、比較的にコミュニティ形成が弱い千葉の集住団地を中心に調査を行なった。これまでと同様に集住地域の外国人住民を対象にインタビュー調査を行い、リテラシー問題に関する継続した調査・分析を行なった。次に、海外の調査として、イギリスのタワーハムレット・ロンドン地域や、ドイツのベルリンにおける外国人集住地域のフィールド調査を行なった。現地ではその地域における言語環境と外国人住民への支援の事例を関する情報や資料を収集した。とくに、ベルリンでは多様な移民が集住しているクロイズベルク地域に居住するトルコ人移民をインフォーマントとして調査を行い、ドイツでの言語習得や社会参加などについて話を聴くことができた。韓国の調査に続き、イギリスやドイツでの調査は、日本での調査と比較できる材料として、今後の分析に活用していく。 その他、研究分担者や協力者に依頼している、外国人集住地域における行政側の支援の取り組みや、子供の教育環境、リテラシー支援のための市民団体(自主夜間中学校)の取り組み等についても継続して調査を行うことができた。これらの調査結果は、国内外の学会での発表しており、また後半には公開研究会をも開き、研究結果の中間報告を行った。また公開研究会では、海外の移民の社会参加の事例紹介をはじめ、日本の外国人集住地域のリテラシー問題と支援の課題に関するパネルセッションも行い、これまでの研究を総合的に振り返るとともに今後の研究に向けた展望を検討することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分担者や研究協力者にも調査内容や対象も分担してもらっており、今のところ研究は概ね順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度となる今年度は昨年度に続き、千葉県以外の外国人集住団地(公営団地)を訪問し、団地の周辺(団地の敷地内の掲示、周辺公園、公民館など)の言語環境や地域の多文化 共生の取り組みに関するフィールド調査を行い、これまでの調査地域との結果と比較・考察する。研究の分担については、昨年度同様に外国人当事者をはじめ、行政、自治会、小学校、自習夜間中学校でのリテラシー支援に分け、追加調査と研究成果をまとめていく。最終的にこれまでの研究結果を総合的にまとめ、リテラシー実践としての社会参加の実態と支援についての課題と展望を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は国内外の調査やシンポジウムの開催のために旅費や謝金の支出が多かった。今年度は最終年度として追加調査や研究報告のための旅費、またデータや資料のまとめのための謝金の支出が予定される。
|