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2021 年度 実施状況報告書

多様化する外国人集住地域の日本語のリテラシー問題:その実践的文脈から支援施策へ

研究課題

研究課題/領域番号 17K02841
研究機関千葉大学

研究代表者

高 民定  千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (30400807)

研究分担者 村岡 英裕  千葉大学, 大学院国際学術研究院, 教授 (30271034)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード外国人集住地域 / リテラシー実践 / 団地調査
研究実績の概要

昨年度は最終年度として、コロナ禍で遅れている調査を再開し、外国人集住地域のフィールド調査を行う予定だった。しかし、昨年度もコロナ禍の状況が続いたため、予定していたフィールド調査や対面によるインタビュー調査がなかなかできなかった。そこで、昨年度は調査方法を変えて質問紙(アンケート)による調査を行った。
質問紙による調査では、首都圏の外国人集住団地(e.g.公営住宅、UR団地)に居住する外国人住民を対象に、生活での主な使用言語や日本語の習得状況状況をはじめ、団地での言語環境(多言語環境)、地域での社会参加をする上で困っていること、日本語の読み書きの実践状況などを質問項目にして調べた。
また質問紙は日本語版だけではなく、中国語、ベトナム語、英語、ポルトガル語、スペイン語、韓国語など7カ国語の多言語版も作成し、紙媒体とウェブ版のツールを利用し実施した。質問紙による調査はできるだけ多くの外国人住民から回答を得るために現在も実施中であり、同時にこれまで回収されたアンケートの分は回答の分析を行っている。統計処理や分析はまだ途中であるが、外国人集住地域における日本語のリテラシー問題が外国人住民の言語背景をはじめ、住居環境、滞在年数、家族構成、社会参加、支援環境とどのように関係しているかを考察することで外国人住民のリテラシー問題を総合的に捉えようとしている。またアンケートの調査の分析で見えてきたポイントを参考に今後実際外国人住民が社会参加においてどのようにリテラシー実践を行い、また実戦に向かってどのような意識や言語管理をしているかを、エスノグラフィー調査を通してさらに追求していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度に続きコロナ禍の影響により予定していた団地周辺のフィールド調査や対面インタビューが予定して規模で実施できず、全体として研究が遅れている。

今後の研究の推進方策

今年度は昨年度の続きの外国人住民のリテラシー問題に対するアンケート調査と、その回答の分析を行い、外国人集住地域の言語環境と外国人住民が抱えているリテラシー問題の実態を明らかにする。これまでの回答の分析からは、外国人住民が団地に入居してきて最も困っていることとして挙げているのは、文化の違いによる団地の暮らしの問題より地域住民とのコミュニケーションや掲示板や回覧板のメッセージの理解などの読み書きの問題であることが確認できた。また問題があったときは、人的リソースを使用し、解決するなどのリテラシー実践がなされていることも確認できた。また外国人住民の中には団地の掲示板や注意書きをよく読まないと回答した人が7割を超えていたが、その理由として単に日本語が読めないという問題だけではなく、読めても内容の理解ができないというリテラシーの文脈に対する理解が問題になっていることが明らかになった。またこうした問題は外国人住民が地域での活動や社会参加を回避する要因にもなっていることも分かった。今年度はこのような調査結果をもとに外国人住民が具体的にどのようなリテラシーイベントにおいてどのようなリテラシー実践や管理を行っているかを、エスノグラフィー調査を通してさらに追求していきたい。またそこでの結果を踏まえ、今後のリテラシー支援への課題を整理し、支援施策に向けた提案をまとめていきたい。
最終年度となる本年度はこれまでの研究の結果を総括しながら、研究の結果を公開研究会や関連する学会等で発表しフィードバックをも行なっていきたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響によりフィールド調査で使う予定だった旅費が使えなかったため

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 海外の事例からみたリテラシー問題と支援 -韓国済州の結婚移民女性の事例を中心に-2022

    • 著者名/発表者名
      高民定・高龍珍・高暎喜
    • 雑誌名

      千葉大学大学院人文公共学府 プロジェクト報告書

      巻: 366 ページ: 111-129

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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