研究課題/領域番号 |
17K02845
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
田崎 敦子 東京農工大学, グローバル教育院, 准教授 (10272642)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 留学生 / 日本人学生 / バイリンガル / 異文化間コミュニケーション / 日本語教育 / 社会文化能力 / 社会言語能力 |
研究実績の概要 |
本研究は、英語で学位取得可能なコースで学ぶ日本人学生と留学生のコミュニケーションを促進するための手段に関する調査、及びそれを養成する教育内容、教育方法の開発を行っている。これまでの研究から、学習や研究は英語で行われたとしても、日常のコミュニケーションでは、日本社会の事象や価値観が反映された日本語の言語能力、社会文化能力、社会言語能力が効果的に働くことがわかった。これらは、留学生が来日後に学び始めて得た初級レベルの能力でも有効であった。つまり、日本人学生と留学生の使用言語を英語と初級レベルの日本語とし、彼らがその二言語を使用する「バイリンガル」となることがコミュニケーションを促進する効果的な方法ということになる。そこで、本研究では、彼らが英語と共に初級レベルの日本語を活用できるようになるための日本語教育、異文化間コミュニケーション教育の内容、方法を開発してきた。本年度は、Byram(1997)の理論に基づいて、日本人学生と留学生を対象に日本語と英語で行った異文化間コミュニケーション教育の成果と課題を検討し、その結果を論文として発表した。また、日本語教育については、その成果や課題をまとめ、シンポジウム等で発表し、外部評価を受けた。 さらに、本研究で行っている日本語教育や異文化間コミュニケーション教育の成果を地域の日本語教育に還元するために、市民講座で講演を行い、日本語教室のボランティアと意見交換を行った。その結果、地域においても初級レベルの日本語学習者が急増しており、彼らが社会生活を送るためには言語能力の養成と同時に、社会言語・社会文化能力の養成が不可欠であることが示唆され、大学教育と共有できる点が多いことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、英語で学位取得可能なコースで学ぶ日本人学生と留学生のコミュニケーションを促進するための手段として英語と初級レベルの日本語の二言語使用に注目し、彼らがその二言語を効果的に使えるバイリンガルになるための教育内容、教育方法を開発している。これまでの2年間では、当初の計画通り、彼らのコミュニケーションの実態調査、その結果を基にした日本語教育、異文化間コミュニケーション教育の実践を行い、その成果を論文やシンポジウムでで発表し、検証を行ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまで行ってきた研究成果や外部からの評価を基に、教育内容、教育方法の改善を図る。また、国外からも評価を受けるために、海外の雑誌に英語で論文を発表する。そして、これまでの研究を総括し、バイリンガルを養成するための日本人学生、留学生に対する教育を体系化する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた英語の論文作成が遅れており、そのための経費が繰り越された。
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