研究課題/領域番号 |
17K02858
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
小林 明子 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (40548195)
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研究分担者 |
福田 倫子 文教大学, 文学部, 教授 (20403602)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 日本語学習動機 / Project-based Learning / 留学生 |
研究実績の概要 |
2020年度はコロナウイルスの影響により、留学生数が激減したうえ授業方法もオンラインに変更となったため、当初計画していた調査の実施が困難となった。そのため、以下(1)~(3)の研究を実施した。 (1)動機づけ、第二言語不安など日本語学習者の情意面に関する文献のレビューを進めた。特にComplex dynamic system theoryに基づき情意要因の変化と影響要因を探った研究をまとめた。文献レビューの結果は、2022年度に書籍として刊行する予定である。 (2)昨年度実施した2つの調査(以下①②)について分析を進め、論文として投稿した。①日本人学生と留学生が地域で行ったProblem-based Learning(PBL)において留学生の日本語学習に対する動機づけがどのように変化するかを、縦断的・質的に分析した。分析結果から動機づけの向上に関わる要因として(a)実践的な日本語力の獲得(b)活動の達成感・自信(c)新しい経験・視野の拡大等が見出された。一方で動機づけの低下に関わる要因としては、(a)PBLのテーマに対する興味の薄さ(b)活動の成否に対するプレッシャー等があった。またグループ内の人間関係やまとまりが動機づけの向上・低下の両方に関わることが示された。②中級日本語クラスにおいて実施したPBLを分析し、論文として投稿した。3回分のディスカッションを録音し、文字化して質的に分析した。結果として、議論を経るに従って段階的に学習者の問題解決に関する思考が広く、深くなったことが示唆された。 (3)オンラインの中級日本語授業においてPBLを実施した。授業は録画し、発話データの文字化を行った。来年度以降に、論文としてまとめる予定である。 現在は、上記の結果をもとに授業方法、調査法の見直しを行っており、来年度の授業実践、調査に活かす予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、コロナウイルスの影響で交換留学生が全員留学を取りやめる等、授業参加者が減少し、授業もオンラインで実施したため、当初計画していた調査が困難となった。そのため昨年度収集したデータを中心として分析を行い、論文の投稿を行った。また、今年度オンラインで実施したPBL授業についても分析対象とすることとした。さらに文献研究を継続的に進めた。これらにより、理論及び調査データの厚みを増すことに努めているが、十分なデータを収集するために来年度も調査を継続する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、当初計画ではデータの分析と論文の執筆を中心として進める予定であった。しかし、昨年度、十分なデータを収集することができなかったため、2021年度も引き続き調査を実施することとする。具体的には、2021年度後期に行う留学生と日本人留学生の混合授業において縦断的・質的にデータを収集し、分析を行う予定である。また昨年度収集したオンライン授業のデータの分析、考察を進める。さらに文献レビューについても引き続き行い、理論的な検討も併せて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響により、学会がオンライン開催となったため旅費が不要となった。また研究分担者との打ち合わせのため出張を予定していたが、コロナウイルスの状況を鑑み、次年度に延期することとした。
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