研究課題/領域番号 |
17K02860
|
研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
橋本 直幸 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (30438113)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 日本語教育 / 読解教育 / 多読 / 話題・トピック / コーパス |
研究実績の概要 |
2020年度は以下の2点を実施した。 (1)2018年に冊子版として刊行した『話題別読解のための日本語教科書読み物リスト2017』をウェブサイト「日本語教科書読み物データベース」として公開した。このデータベースでは冊子版刊行後に出版された日本語読解教科書や漏れていたものを含め、大幅にデータ量を増やし、2021年5月現在で3663の読み物を収録している。データベースは、フリーワード検索、話題検索(分野・話題)、レベルによる絞り込みが可能で、冊子版には含まれていなかった各読み物のキーワードも入れることで、より広範で詳細な検索が可能となった。データベースのURLは、https://opac.jp.net/Opac/search.htm?s=-oDweME36ExwrOmGKNkV41okBHd。また、この活用法については、2020年8月に韓国日本語学会第41・42回国際学術研究大会(Zoom開催)で「日本語教科書読み物データベースと話題別多読システムの構築」として発表した。 (2)話題別日本語教科書コーパスの整備と拡充を行った。 前年度から継続している話題別多読の準備のための日本語教科書のコーパス化を進めた。日本語教科書は随時刊行されるので、一旦区切りをつけ、コーパスとして整備する。ただし、著作権の問題から一般公開はできないので、分析結果のみの公開、また、共同研究者との間での使用に限定する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本科研の目的は、話題別多読の実践を通して日本語学習者の付随的語彙学習が促進されるのかどうか、その効果を検証することである。ただし、日本語読解教科書の収集やデータベース化、使用語彙をあらかじめ検証するためのコーパス作成など、話題別多読のシステム整備に時間を要しており、当初の計画からやや遅れている。 またコロナ禍における協力者(日本語学習者)の確保の難しさという点もあり、計画の見直しを迫られている。とくに話題別多読の実践においては、著作権の関係から教材・教科書をコピーして使用することは難しく、教材・教科書原本を学習者に貸し出し読ませる必要がある。そのため、オンラインでの実践も難しいと判断し、現在、実践ができない状態である。 以上の理由から本来2020年度が終了年度であったが、1年の延長を申請し、残りの1年でできる範囲での実践を行う予定である。とくにデータベースの作成、コーパスの作成は終えているので、それをできるだけ活用した多読の実践の方法を検討し、また、普及活動を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は、これまで作成した「日本語教科書読み物データベース」および「日本語教科書読解コーパス」を活用し、話題別多読の実践と付随的語彙習得の検証、普及活動、最終報告のとりまとめを行う予定である。 話題別多読の実践については、前年度、協力者の確保が難しかったが、今年度は協力者が得られる予定であり、実践が可能と考えられる。また、話題別読解コーパスの活用については、話題別使用語彙の高頻度語リストの作成を行う予定である。最終報告については、作成済のデータベースと連携させるかたちで既存の研究成果を含むホームページを作成予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初2020年度が終了予定年度であったが、コロナウイルスの感染拡大による協力者(日本語学習者)の確保が難しく、当初の研究目的であった話題別多読の実践による付随的語彙習得の効果測定が、予定通り進捗していない。そのため最終年度に予定していた報告書(ホームページ)の作成や研究集会の開催も実施できず、1年の延長申請を行った。助成金の残額が発生したのはこのためである。 最終年度においては協力者の確保が見込める状態であるので、付随的語彙学習の効果検証のための研究協力者への謝金、ならびに研究成果の公開(ホームページの公開・作成済データベースの拡充)のための費用として、助成金を使用することとする。なお、研究成果発表のための学会参加等については、オンライン開催の可能性が高いため、交通費等には使用しない。
|