2019年度については夏季休暇を中心に、2018年度にかなわなかったデータ収集を行った。セルビア・ベオグラード大学で行われたヨーロッパ日本語教育学会、およびウェールズのカーディフ大学で行われた日本語教育の研究会に参加し、欧州における日本語教育の現状について理解を深めるとともに、今後の研究に参加可能な拠点を開拓した。同時に、オランダ・ハーグ在住の継承日本語家庭の日本人母3名にインタビューを行い、データを収集した。また、イギリス・ニューカッスルで行われた英国日本語教育学会にて「高度バイリテラシーを支えるために親たちがしていること:カナダとイギリスの継承語家庭の比較を通じて」のタイトルで研究発表を行い、オーディエンスよりフィードバックを得ると同時に、今後の研究への参加者を募った。この発表の成果は2017年度のデータ収集に基づくもので、現在論文として投稿中である。さらにその後、スコットランドにあるエジンバラ補習授業校において授業観察とインタビュー調査を行った。これらの調査結果については現在分析中で、今後発表していく予定である。 当初予定では後期の講義が終了したのちに、北海道・ニセコ地区における国内事例のデータ収集を予定していたが、予定していたインフォーマントがコロナウィルスの影響により来日できなくなったことなどをふまえ、中止を余儀なくされた。そのため、本研究における国内事例の研究については進めることができず、文献研究にとどまった。この部分については、今後の研究で深めていきたい。また、本研究で収集したデータについて、一部分析が終わらなかったものも残っているが、今後も分析を続け、本研究の成果として発表していきたいと考えている。
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